ロシア製ソフトウエアのプリインストールに関する新法、関係国が反発

(カザフスタン、ロシア、キルギス、ベラルーシ)

タシケント発

2020年01月27日

ロシアのプーチン大統領は2019年12月2日、ロシア国内で販売するスマートフォンやコンピュータ、スマートテレビに、ロシア製プログラムの販売前インストール(プリインストール)を義務付ける法律に署名した(注)。これに対し、ユーラシア経済連合(EEU)加盟国が懸念を表明している。

ロシア議会は、国内IT企業の保護と国内消費者が別途ソフトウエアをダウンロードする手間を省く目的でこの法案を提出した。これに対して、アップルやデル、HP、グーグル、サムスン、インテルなど業界大手も加盟している「家電・コンピュータ製造流通業者協会」(RATEK)は、この法案はWTOの原則に違反し、ロシアのソフトウエア開発分野の独占やデバイスの監視ソフトウエアが使用されるとの懸念から、プーチン大統領に署名をしないよう求めていた。

この法律は2020年7月1日から適用され、ロシア製ソフトウエアのプリインストールを拒否した場合、個人業者には10万~50万ルーブル(約18万~90万円、1ルーブル=約1.8円)、法人には50万~100万ルーブルの罰金が科せられる。

2019年12月13日に行われたユーラシア経済委員会(EEC)の域内市場保護部会でも、この法律について議論され、EEU加盟国のカザフスタンやキルギス、ベラルーシの代表者から、これはWTOの原則やEEUの技術規制と矛盾しており、域内市場機能が妨げられると懸念の声が上がった。

カザフスタンのバヒト・スルタノフ貿易統合相は「カザフスタンではスマートテレビを組み立てているが、ロシア市場で販売するためにはロシアからソフトを購入する必要がある。EEU加盟国が自国の企業を優遇することは、EEUの単一市場の原則と平等な立場を脅かす」と述べ、カザフスタン政府としてこの法律への反対を表明した。

(注)2019年12月2日付連邦法第425号「ロシア連邦法『消費者の権利の保護について』第4条の改正について」。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア、キルギス、ベラルーシ)

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