フィリピンとラオスが知的財産権管理で協力覚書を締結

(フィリピン、ラオス)

マニラ発

2020年01月31日

フィリピン知的財産庁(IPOPHL)は1月2日、ラオス科学技術省知的財産局(DIP)との間で、知的財産権に関する2国間協力のための協力覚書(MOC)を締結したとウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した。

MOCの締結により、両国は知的財産権に関する情報やベストプラクティスの共有を図るためのシステムの構築を図る。そのほか、両国の中小零細企業に対して、知的財産権の重要性を周知、喚起するための教育やキャパシティー・ビルディングを協力して実施する。

IPOPHLは、今回のMOCは両国間で締結された初めての協力覚書で、知的財産権の活用を促進することで両国の経済発展に寄与するとした。

フィリピンはかつて、模倣品に対する対策を含めた知的財産保護が不十分だとして、1994年から2013年まで、米国通商代表部(USTR)の公表する監視対象国とされてきた。その後、フィリピン政府は知的財産権保護に関する法令の整備と政府機関の設立を進めるなど状況の改善を図り、その結果、2014年にはUSTRの監視対象外となった。

その後も、フィリピン政府は知財産権保護に関する施策を進めており、前政権において策定された5カ年計画「フィリピン知的財産権保護および執行に関する行動計画2012-2016」では、意識啓発キャンペーンの実施、知的財産権侵害事件の処理の迅速化に向けた規則改定などの取り組み、裁判外紛争解決制度(ADR)の導入、盗撮防止法やサイバー犯罪防止法などの新規立法措置などを実施。その後に就任したドゥテルテ大統領は、新たな中期計画として「フィリピン知的財産権保護および執行に関する行動計画2017-2022」を策定している。

2019年10月発表の世界知的所有権機関(WIPO)による、知的財産権保護に関する世界各国の政策をランキング化した年次報告書「世界知的財産権指標2019」では、フィリピンは世界129カ国中67位と、前年の70位から3ランク上昇した。世界知的財産権指標2019において、フィリピンは、ミャンマー、カンボジア、ラオスを除いたASEAN諸国の中では5位となった。世界129カ国中、シンガポールが4位(ASEANでは1位)、マレーシアが32位(2位)、タイが64位(3位)、インドネシアが65位(4位)、ベトナムが83位(6位)、ブルネイが98位(7位)だった。

(坂田和仁)

(フィリピン、ラオス)

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