低所得者向け「ボルサ・ファミリア」の支給方法を改善へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年01月21日

ブラジルのオズマール・テーハ市民相と大統領府のオタビオ・ヘゴ・バーホス報道官は1月10日、低所得者向け現金給付プログラム「ボルサ・ファミリア」の給付に関する改善方針を明らかにした。ボルサ・ファミリアはブラジル国内の貧困撲滅などを目的に連邦政府が給付するもので、2003年に誕生したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ政権下で、それまで存在していた就学手当や食糧手当などを統合し、創設された。

2020年のボルサ・ファミリア向けの予算は300億レアル(約7,800億円、1レアル=約26円)に上り、約1,350万世帯が支給対象になっている。ジャイール・ボルソナーロ大統領は、2018年の選挙期間中からボルサ・ファミリアを「ばらまき政策」と批判し、給付水準は維持するものの、制度自体を改善・近代化すると主張していたため、その内容が以前から注目されていた。

テーハ市民相によると、2019年1月に発足したボルソナーロ政権では、同年末までに不正な受給登録者130万人以上を抹消し、140億レアルの国庫支出を抑制した。また、テーハ市民相は、向こう最低2年間、低所得者への現金給付制度を維持したいとの考えを示し、就学および就労を行っていない若年層を減らすことが制度改善の最大の狙いだとしている。同相が明らかにした改善案は次のとおり。

  1. 受給対象者の1人当たり収入上限額を、極貧層は従来の月収89レアル、貧困層は従来の月収178レアルから、それぞれ100レアルと200レアルに引き上げる。
  2. 受給者にはこれまでどおり、子女を就学させる義務が課せられるが、子女の成績が優秀(平均で10点中7点以上)、または、子弟が専門家教育コースを受けている場合には各年末に追加給付金を支給する(支給額は未定)。
  3. 13カ月給与〔注〕の支給を、2020年以降も保障する(給付時期は未定)。

バーホス大統領府報道官によると、連邦政府は「ボルサ・ファミリア」の名称変更も含めて改善を検討しているとしたが、新たな制度の正式発表時期は明示しなかった。

〔注〕ブラジルで毎年末に従業員に支給される、1カ月分の給与に相当するボーナス。

(大久保敦)

(ブラジル)

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