非自動輸入ライセンス制度を強化、対象品目追加、申請の新フォーム導入も

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年01月17日

アルゼンチン政府は1月9日付の官報を通じて、工業・知識経済・対外通商庁決議1/2020号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、非自動輸入ライセンス対象品目として約300品目を追加した。これで対象は合計約1,500品目となった。非自動輸入ライセンスは、対象リストの基本が工業生産省商業庁決議E523/2017号によって定められ、その後、複数回改定されている(2018年9月11日記事参照)。

今回は、既に対象となっている繊維・衣類品、玩具類、履物類などに加えて、新たに電子・電化製品、自動車、二輪車、自動車部品、木材関連製品などを対象とした。アルゼンチン輸入協会(CIRA)調べによると、具体的な主な品目は、ストーブやオーブン、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、乾燥機、掃除機、湯沸かし器、電動シェーバー、ヘアーカッター、携帯電話端末、パソコン、タブレット端末、コピー機、ホチキス、鉛筆削り、トラクター、掘削機、ブルドーザー、収穫機、人・貨物輸送車、鉄鋼チューブなど。

非自動輸入ライセンスは、輸入取引の際に取得が求められる輸入許可証で、発給までの審査期間は最大で60日。マウリシオ・マクリ前政権下では、公共歳入連邦管理庁(AFIP)のウェブサイト上に設けられた「輸入の総合モニタリングシステム(SIMI)」を通じて申請を行うことになっており、申請から72時間程度で許可証が発行されていた。

今回の政府決議では、対象品目が追加されただけでなく、新たな申請フォームが導入され、各フォームを当局担当者が審査するため、これまでの72時間以内で許可の取得は難しくなるだろう。1月9日付「エル・クロニスタ」紙は、WTOルールに基づき60日以内にライセンスが発行されることに期待しながらも、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル政権下(2007~2015年)では、取得に180日間も要していたことへの懸念も伝えている。政府関係者は「現政権は管理は強化するものの、国際貿易ルールに反する措置は導入しない。国内産業と雇用を守るのが目的だ」と12月27日付「iプロフェッショナル」紙に語っている。なお、ライセンスの有効期限は180日から90日間に短縮された。

工業・知識経済・対外通商庁は今後、全ての輸入を行う企業に対し、2019年の輸入実績と2020年中に想定される輸入額や輸入に関する詳細情報を提出するよう求めている。政府関係者は、輸入取引のフローを把握するのが目的だと説明した。アルゼンチンでは2006~2013年の間、当時の国内商業庁長官を務めたギジェルモ・モレノ氏が、非自動輸入ライセンスの取得前に政府の審査を受けてから輸入許可を得る輸入事前審査制度を導入していた。

なお、工業・知識経済・対外通商庁長官にはアリエール・スチャレ氏が任命された。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 b87bd483ca44d638