政府が新型コロナウイルス対策で、避難のための帰国希望者に航空便を用意

(フランス)

パリ発

2020年01月28日

フランスのアニエス・ビュザン連帯・保健相は1月26日、中国政府との合意の下、フランスへの帰国を希望する中国・武漢在住(滞在)のフランス人向けに、週内にも直行便の航空機を用意すると発表した。希望者は数十人から数百人になる見込みで、領事館が現在確認している。また帰国便には医師団も同行する。フランス国内への感染を防ぐため、帰国者は14日間隔離される。

帰国便派遣は、武漢にいるフランス人の新型コロナウイルス感染に対する心配に応えるため、エドアール・フィリップ首相が決定した。連帯・保険省は1月24日、フランス国内で欧州では初の感染者3人を確認している。複数の報道によると、3人とも最近武漢に滞在していた。同省は国内感染の拡大防止のため、3人を隔離すると同時に3人との接触者の特定に努めている。

一方、フランス自動車大手グループPSAは1月25日、新型コロナウイルスの感染対策として、武漢にいる駐在員とその家族(複数報道では38人)を検疫期間中、武漢から約350キロ南の長沙に避難させた後、出身国に帰国させると発表した。同社は中国当局やフランス領事館と調整して対策を講じている。さらに、PSAと東風汽車集団は武漢に所在する合弁会社の神龍汽車集団の中国人従業員への対応にも全力で取り組むとした。

武漢はフランスの対中投資、特に自動車産業の一大拠点だ。1月25日付の「ル・ポワン」紙は在中フランス大使館の情報として、PSAやルノー、ヴァレオ(自動車部品)、プラスチックオムニウム(自動車部品)などの企業が所在しており、約500人のフランス人が在留していると紹介している。

複数の報道によると、ビュザン連帯・保健相は1月26日、フランスで新たに6人の新型コロナウイルス感染の疑惑者が出ており、検査結果の確認待ちだと述べた。

(奥山直子)

(フランス)

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