アルジェリア新内閣が発足、反体制デモの要求を重視へ

(アルジェリア)

パリ発

2020年01月10日

国営アルジェリア通信(APS)によると、アルジェリアのアブデルマジッド・テブン大統領は1月2日、アブデラジズ・ジェラド氏(65歳)を首相とする新内閣を発足させた。

新内閣は、担当大臣を含め41人で構成される。各省庁閣僚28人のうち、ムハンマド・アルカブ・エネルギー相、サブリー・ブカドゥム外相、アブドッラハマーン・ラウイア財務相ら11人が前政権、またはブーテフリカ前大統領政権下で大臣を務めた経験がある。

他方、ジェラド首相をはじめ、フェルハット・アイト ・アリ・ブラハム産業・鉱業相、カメール・レジグ商業相、アイッサ・ベッカイ対外貿易担当相ら、経済に関係する省庁には技術官僚(テクノクラート)が比較的多い。ジェラド首相は政治学の博士号を有する大学教授で、アルジェリア国立行政学院(ENA)の元院長や外務省の上級管理職を務めたこともあり、実務経験が豊富だ。また、フェルハット・アイト・アリ・ブラハム産業・鉱業相は過去に評論家として、前政権の経済政策について自動車産業を中心に批判的に論じていた。経済の再活性化に向けて自動車産業の法的枠組みの大幅な改革を行う可能性が高いとの見方もある。

12月12日に実施された大統領選挙(2019年12月18日記事参照)後も、テブン大統領の選出を批判した反体制デモが続いているが、規模は縮小傾向にあるもようだ(「ジュヌ・アフリーク」12月27日)。なお、この数カ月の間にデモで逮捕された76人が1月2日に解放され、現政権は反体制デモの要求に前向きに応える姿勢をみせている。ただし、現政権には国内産業の基盤強化、脱炭化水素依存、憲法の改正など、早急に取り組まなければならない課題がまだ多く残っている。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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