コーヒー豆など農産品の輸出契約の政府登録を義務付け

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年01月21日

エチオピア貿易産業省は、国内からの農産品輸出に関する契約を政府に登録することを義務付ける省令(エチオピア暦2012年21号、2019年10月23日)を施行している。「輸出品契約登録と施行令(Export Products Contract registration and execution)」で、アムハラ語のみで発表されている。省令は適切な輸出契約の執行を管理するのが目的で、外貨不足の中、輸出業者が外貨アクセスを得るために、意図的に仕入れ価格を下回る契約額で輸出することを取り締まる目的を持つ。

外貨不足を背景とした商慣行是正を目的に

契約登録対象は、コーヒー豆、ならびに一次産品取引所(ECX)を通じて取引される商品群。将来的には、同取引所で取引されるようになる品目も対象となる(第3条)。登録申請が貿易産業省に承認されなければ、銀行や税関などで輸出手続きが進まず、輸出できない(第10条、第12条)。契約登録後の契約改変や取り消しも貿易産業省に登録し直す必要がある(第11条)。

輸出者は、貿易産業省に契約登録する際に在庫を持つ場合、国内での仕入れ価格の証憑(しょうひょう)と輸出販売契約を提出し、貿易産業省は輸出価格が仕入れ価格を下回らないことを確認する。輸出者が販売する商品の確保に先立って契約登録申請する際には、貿易産業省が類似契約や国際価格を参照の上で契約を仮登録し、輸出商品を国内で確保した時点であらためて仕入れ価格を下回らないことを確認し、契約が本登録となる(第5条)。また、輸出商品の確保前の契約の場合、船積みは3カ月先までとなる(第6条3項A)。

ほかの法令規則に基づき一次産品取引所を通さずに直接輸出ができる生産者などの場合も、輸出契約価格は取引参考価格を基に登録可否が決められる(第7条)。

国内市場での健全な取引促進のため、取引所での売買は、即日、貿易産業省に通知される。これら売買のうち、国際取引価格を超える仕入れ値を記録している買い手は翌日の市場参加が差し止められる。輸出契約額は、比較可能な国内取引価格以上であることが原則ではあるが、さまざまな理由により逆ざやが発生する場合の許容範囲は1%未満とする(第8条)。

関係者が果たすべき義務のうち、契約当事者となる外国の買い手には、本省令に基づく契約不履行に際して行政措置を求める場合、契約不履行を確認後15日以内に所定の手続き、または外交手段を通じて通知する必要がある(第17条)。契約を履行しない輸出者は民法その他の法令規則に基づく罰則や商業ライセンスの取り消しなどの行政措置がとられることがある(第20条)。当該省令に基づく行政の決定に対して不服がある場合には、貿易産業省内の異なる段階に順次、申し立てが可能な仕組みを設けており、それでも解決しない場合は、行政訴訟も可能となっている(第24条、第25条)。

(関隆夫)

(エチオピア)

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