新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大、経過観察中は2万人超、団体旅行を停止

(中国)

中国北アジア課

2020年01月27日

中国では、湖北省武漢市を発生源とした新型コロナウイルスによる肺炎が猛威を振るっている。国家衛生健康委員会の発表によると、1月26日午前0時までに確認された累計感染者数は1,975人(前日比688人増)、うち重症者324人、死亡者56人、治癒・退院済み49人。

このほか、感染の疑いがある症状の患者数が2,684人、感染者との濃厚接触による経過観察中は2万1,556人に上り、今後も患者数の増大が懸念される。同委員会が1月22日に発表した「新型コロナウイルスによる肺炎予防管理方案(第2版)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、潜伏期間は最長約2週間とされる。また、同委員会が23日に公表した「新型コロナウイルスによる肺炎診療方案(試行第3版)」では、重症患者のうち一部は高熱の症状はなく、発熱していない患者もいるとした。

習近平国家主席は25日、共産党の最高指導部である中央政治局常務委員会を開き、感染状況や予防・抑制に向けた対応などについて報告を聴取。新たに直属の対策チームとして「感染対策工作領導小組」を設置することを決定した。

また、文化旅行部は26日、海外向けを含む全ての団体旅行、航空券と宿泊ホテルがセットとなった旅行商品の販売を暫定的に即日停止する緊急通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをウェブサイトに掲載した(通知日は1月24日付)。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2019年の中国からの訪日観光客数(推計値)は959万人に上り、全体の3割を占める。また、観光庁の「訪日外国人消費動向調査2018」では、中国人訪日観光客のうち団体旅行が占める割合は36.2%、個人旅行が63.8%。滞在日数は4~6日間が55.2%、7日間以上が43.3%となっている。

日本政府はこうした状況を受け、外務省が1月24日、新型コロナウイルス発生による感染症危険レベル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて、中国湖北省全域を「レベル3」地域に引き上げ、渡航しないように呼び掛けた(同省以外の地域は「レベル1」の「十分注意してください」を継続)。

また、安倍晋三首相は26日夕に緊急会見を行い、武漢在留邦人の帰国に向けて「中国政府との調整が整い次第、チャーター機などあらゆる手段を追求し、希望者全員を帰国させることにした。調整を一層加速して速やかに帰国を実現させたい」と表明した。在中国日本大使館は湖北省に在留している邦人に対し、帰国希望者調査を行っている(詳細は在中国日本大使館ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。

(小林伶)

(中国)

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