2020年の経済成長率は7%台、カンボジア中銀が予測

(カンボジア)

プノンペン発

2020年01月21日

カンボジア中央銀行(NBC)は1月2日、マクロ経済および金融部門に関するレポート(注)を発表し、2020年の実質経済成長率が7%台を維持するとの見通しを示した。2019年の経済成長率の推計は7.1%で、経済成長は堅調に推移すると見込まれる。また、インフレ率は2019年に1.9%、2020年に2.3%と推計されている。

同レポートによると、外国直接投資(FDI)のさらなる拡大や、建設業、観光業の成長が今後の同国の経済成長に寄与する。2019年のFDIは、前年比11.7%増の35億9,000万ドル(認可ベース)となった。国・地域別では中国が全体の43%と最も多く、韓国11%、ベトナム7%、日本とシンガポールがそれぞれ6%を占めた。2020年は10%増の39億5,000万ドルになると予測される。NBCは、海外からの投資誘致において、最低賃金の上昇によるマイナスの影響が懸念されるが、(賃金上昇に見合う)生産性が向上している現状を踏まえると、現時点での影響は軽微としている。

また、輸出についても好調に推移し、特に旅行用カバンなどで大きな増加が予測される。主力の縫製品の輸出動向においては、EUが同国に適用している特恵関税制度である「武器以外全て(EBA)」の継続が焦点となっており、2月のEUによる最終決定が注目される(2019年12月4日記事参照)。一方、NBCは、EBAの適用取り消しが決定した場合でも、施行されるのは8月で、それまでは輸出は伸びると予測する。

今回の発表を受け、カンボジア商工会議所のリム・ヘン副会頭は「不動産業や建設業、農業などあらゆるセクターでFDIが増加している。新規事業所数の増加に伴い、貿易額も堅調に増加している。政府は投資法、経済特区法の改正を進めるなど行政改革を行っており、書類手続きの削減により貿易や投資が促進されるだろう」とコメントした(「クメール・タイムズ」紙1月10日)。NBCや経済界は強気の見通しだが、最大投資国である中国経済の減速や、最大輸出先のEUにおけるEBAの継続是非の決定次第では、経済への影響も懸念され、予断を許さない状況にある。

(注)詳細は「マクロ経済と金融部門の発展 2019年および2020年の展望」(クメール語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(脇坂敬久)

(カンボジア)

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