北西部のクルージュ圏で地下鉄・都市鉄道建設プロジェクト推進

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年01月27日

ルーマニア第4の都市で北西部に位置するクルージュ・ナポカ市は、日本企業の参画が期待される地下鉄・都市鉄道建設プロジェクト促進を2020年の重点政策の1つとしている。1月13日に発表した同市の2020年予算案の中で言及しており、都市部の人口過密に起因する慢性的な交通渋滞の解消のため、交通インフラ投資の規模を拡大する方針を示した。クルージュ圏の地下鉄1号線の新設と都市鉄道延伸プロジェクトについて、予備調査(プレFS)、実行可能性調査(FS)などを実施し、クルージュ圏都市開発の技術的な実施計画を策定する予定。なお、市の2020年予算案総額は前年より7.4%増の約3億5,400万ユーロとなる。

計画によると、クルージュ圏の地下鉄1号線は15駅で、約16キロにわたって新設され、投資額は最大約10億ユーロが見込まれている。都市鉄道については、既存の鉄道を延伸して全長43キロとなる計画で、投資額は最大約7,500万ユーロの見込みだ。各種調査は落札事業者の発表から約2年で完了する予定としている。

地下鉄と都市鉄道のプレFS、FS、環境への影響評価、戦略評価、鉄道と地下鉄の連結可能性に関する調査の実施に当たり、2019年7月30日までに行われた入札では、以下5つのコンソーシアムなどが応札した。

  1. SWSエンジニアリング(イタリア)、シストラ(フランス)、メトランス(ルーマニア)
  2. エクスプラン(ルーマニア)、ドクターサウアー・アンド・パートナーズ(英国)
  3. メトロウル(ルーマニア)、パデコ
  4. エウロチェラード・インターナショナル(ルーマニア)、3TIプロジェッティ・インジネリア インテグラータ(イタリア)
  5. エジスレール(フランス)

2019年10月には、SWSエンジニアリング・シストラ・メトランス組の落札が公表された。しかし、落札結果に対してメトロウル・パデコ組が紛争解決機関(CNSC)に異議申し立てを行い、12月に落札取り消しとなったことが報じられた。理由として、メトロウル・パデコ組がより安価な入札価額を提示していた点、メトランスが入札に先立って同市へ入札仕様書の策定を含むコンサルティングサービスを提供した経緯があり、利害関係者に該当するといった点が挙げられた。その結果、メトロウル・パデコ組が現時点で落札権を所持することとなったが、最終結果は控訴裁判所が3月ごろまでに決定する見込みだ。なお、エクスプランとドクターサウアー・アンド・パートナーズ組と、エジスレールは入札要件に満たず、失格とされている。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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