2019年第3四半期のGDP成長率、前年同期比5.1%に鈍化

(ケニア)

ナイロビ発

2020年01月28日

ケニア国家統計局は12月31日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を前年同期比5.1%と発表した(表参照)。2018年同期の6.4%を1.3ポイント下回った。

表 第3四半期(7~9月)産業別実質GDP成長率(前年同期比)

産業別で前年同期の成長率を上回ったのは、不動産業(4.9%、1.1ポイント増)や鉱業・採石(4.3%、1.0ポイント増)、金融・保険業(5.6%、0.3ポイント増)だった。一方、農林水産業(3.2%、3.7ポイント減)やホテル・レストラン業(9.0%、6.7ポイント減)は大きく鈍化した。主要産業の農林水産業の減速は、大雨季の開始が遅れたことで作物の育成に影響したと考えられる。国家統計局によると、主要換金作物の紅茶、砂糖の原材料となるサトウキビの生産量がそれぞれ前年同期比9.6%、21.0%、野菜、果物の輸出量がそれぞれ同28.0%、11.3%減少した。2019年10月~2020年1月も例年を大きく上回る降雨が続くなど天候不順で、第4四半期(10~12月)も農作物への影響が懸念される。12月には、アルコール飲料を除く飲食品の消費者物価指数が前期比10.0ポイント上昇した。特に、主食の原料となるメイズ粉(52.3ポイント増)、トマト(36.3ポイント増)、豆(16.0ポイント増)など、主要な食材の価格が高騰した。

2018年第3四半期は15.7%と好調だったホテル・レストラン業も、2019年1月にナイロビの複合施設が襲撃されるなど治安面の不安を助長する事件があり、大きく減速した。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査では、2019年のケニアへの外国人訪問客を前年比13.6%減の175万人と予測する。ただ、ケニア政府は観光キャンペーンや国際線の路線多角化、外資系ホテルチェーンの誘致を堅実に続けており、2020年は訪問客数の回復を見込んでいる。

世界銀行は2019年のケニアの成長率を5.8%(2020年1月時点)、IMFは5.6%(2019年10月時点)と予測している。ケニア国家統計局は4月、第4四半期と2019年通年の成長率など主要指標を発表する予定だ。

(久保唯香)

(ケニア)

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