貿易産業省、船会社の貨物運賃に上限設定の法案提出へ

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月30日

フィリピンの元外相で下院議長のアラン・ピーター・カエタノ議員は、フィリピンに就航する船会社の貨物運賃に上限を設定する法案を貿易産業省(DTI)が近く提出すると発表した。1月16日付でフィリピン通信社など地元メディア各紙が報じた。

カエタノ下院議長は、フィリピンの製造業者は原材料の輸入で法外に高い貨物運賃を支払わされており、その結果、国内の小売価格に反映されて国民の負担となっているとし、消費者を保護するためにも法制化が必要だとした。

同議長によると、DTIが現在法案を作成しており、1月末までに国会に提出するという。DTIは当初、船会社の貨物運賃の上限設定で大統領府に対して大統領令を発令するよう求めていたが、法制化した上でより厳格に取り締まる必要があるとし、法案を提出することにした。

DTIによると、フィリピン内の小売価格に占めるロジスティック費用の割合は27.0%に上る。インドネシアは21.4%、ベトナム16.3%、タイ11.1%などとなっており、フィリピンが東南アジアで最も高いという。

カエタノ下院議長は、フィリピン企業は港の混雑といった問題にも直面しており、輸送の遅れによって単純な海上輸送費以上の経費を負担する必要が生じているとした。急速な国内経済の成長や内需拡大で中国などからの輸入が急増して輸入超過になった結果のためで、積み上がった空コンテナでコンテナヤードが混み合い、港湾の渋滞は悪化している。

(坂田和仁)

(フィリピン)

ビジネス短信 60d61c9df785bf66