オーストラリア政府、山火事で被害を受けた中小企業や観光業への支援策を発表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年01月21日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は1月20日、国内で発生している山火事によって影響を受けた地域の中小企業に対する支援策を発表した。これまで連邦政府は、被災した住民や地域コミュニティ、野生動物やその生息地への支援とそれに伴う予算措置を行ってきた。今回の支援策では、被害を受けた地域の商工会議所、オーストラリア商工会議所(ACCI)、オーストラリア中小企業団体評議会(COSBOA)から寄せられたニーズに応える、包括的な支援パッケージを提供する。

具体的には、(1)山火事による損害を受けた中小企業や非営利組織に対する最大5万オーストラリア・ドル(約375万円、豪ドル、1豪ドル=約75円)の助成金(免税)の提供、(2)重大な損失を被った中小企業や農家などに対する最大50万豪ドルのローンの提供、(3)金融カウンセラーによるアドバイスを受けられる専用相談窓口の設置、(4)被災した地域の自治体や州政府、企業や地元コミュニティとの連携による地方復興計画の策定、(5)山火事の影響を受けた地域で事業活動を行う企業への税負担軽減措置、を実施する。

モリソン首相は1月19日、オーストラリアの観光業に対する7,600万豪ドルの支援策も打ち出していた。オーストラリアが安全で、ビジネスに対して開かれていることを世界へアピールするため、2,500万豪ドルを提供し、観光業界と提携したキャンペーンを実施する。同様のキャンペーンを国内向けにも実施するほか、被災地域の観光イベントへの支援、海外メディアの招聘(しょうへい)、外交ネットワークを通じた情報発信などを通じて、山火事によって打撃を受けた観光産業の回復を支援する。

なお、山火事が多発している地域の1つであるビクトリア州では、山火事に伴う煙害なども発生しており、在メルボルン日本総領事館は1月20日、「山火事に伴う煤煙被害の注意喚起外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。オーストラリア最大都市シドニーが位置するニューサウスウェールズ州においても煙害が発生しており、日本の外務省はスポット情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。オーストラリアへの渡航を予定している場合は、海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどで最新の情報を確認することをお勧めする。

(住裕美)

(オーストラリア)

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