フィリピン競争法が改正へ、罰則や立ち入り調査権限を強化

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月15日

フィリピン競争委員会(PCC)は、2015年施行の現行のフィリピン競争法を改正し、違反時の罰則や、裁判所の命令なしでの企業への立ち入り調査権限を強化すると発表した。1月4日付の「デイリー・インクワイアー」ほか、地元各紙が伝えた。

PCCのアルセニオ・バリサカン会長は、具体的な罰金の金額や禁錮刑の刑期など改正内容の詳細は明らかにしなかったが、フィリピン競争法の施行から4年が経過し、公正な競争市場の維持や消費者保護のためにも、法の厳格化を行う必要があるとした。現行のフィリピン競争法は、違反の内容に応じて5万~2億5,000万ペソ(約10万5,000~5億2,500万円、1ペソ=約2.1円)の罰金や、最長7年の禁錮刑を科すことを定める。

フィリピン競争法の施行以前は、フィリピンは東南アジア諸国の中で唯一、競争法を定めない国で、フィリピンの国会は20年以上の審議を重ね、2015年にようやくフィリピン競争法を施行した。不正競争の防止に加えて、企業のM&Aの届け出基準や承認基準の詳細を定めた施行細則(IRR)が2016年に出された。

PCCは、2019年には7,580億ペソ相当の合計44件のM&Aの申請を受理し、そのうち30件を承認した。承認案件の多くは、製造業や不動産、電気、ガス、金融、保険といった分野だった。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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