北海道大学発AIスタートアップがバングラデシュに開発拠点を設立

(バングラデシュ、北海道)

ダッカ発

2020年01月06日

北海道大学発の人工知能(AI)開発スタートアップの調和技研(北海道札幌市)が12月15日、海外初となる開発拠点をバングラデシュのダッカに開設した。日本では少子高齢化が進む中、バングラデシュに拠点を設け、優秀な現地のエンジニアを積極採用していく。

調和技研は、2009年に北海道大学大学院調和系工学研究室発のスタートアップとして創業し、現在、札幌市に開発拠点、東京には営業拠点を持ち、34人の研究開発者を雇用する。日本では、「恋愛ナビゲーター」と呼ばれる恋愛のサポートをしてくれるAIソフトや、魚を加工する際、事前に骨の位置を特定できるソフトなどを開発し、日常生活や社会で生じる課題を解決するAIサービスを展開する。

今回、海外初の拠点としてダッカに「AI SAMURAI JAPAN」を設立し、4人のITエンジニアを雇用した。中でも、バングラデシュの最高学府であるバングラデシュ工科大学(BUET)から2人の採用に成功した。

写真 開発拠点開所の様子(ジェトロ撮影)

開発拠点開所の様子(ジェトロ撮影)

開所式に参加した調和技研の中村拓哉代表取締役は「バングラデシュに開発拠点を設置した理由は、人材の優秀さだ。バングラデシュ発のAIでバングラデシュを豊かにしていきたい」とし、今後は同地を海外の研究開発拠点とする。社外取締役の川村秀憲北海道大学教授は「10年前に調和技研を起業し、アカデミックとビジネスの間に橋を架けた。今回は日本の少子高齢化問題への打ち手として、日本とバングラデシュの間に橋を架け、バングラデシュの優秀な人材を積極活用する。今回の橋で、各地の社会問題の解消に少しでも寄与したい」とした。

また、同じく同社開所式に出席した瓦本一大(かわらもといちだい)札幌市国際経済戦略室IT・クリエイティブ産業担当課長は「市の政策として外国人材受け入れに動いており、特に高度IT人材にフォーカスしている。市としても札幌の企業がバングラデシュからの人材採用を進めるために、企業側の理解促進や採用された外国の方々が札幌の生活になじめるようサポートしていきたい」とした。

調和技研は、ダッカに拠点を開発するに際し、2023年までにアジアでトップのAI企業になる目標を掲げ、今後はグローバルマーケットへのアクセスも見据える。同社は、札幌で高度人材を受け入れる中心的な企業になりそうだ。

(安藤裕二)

(バングラデシュ、北海道)

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