デジタル・スポーツ・教育産業の可能性や消費市場の魅力紹介、ジェトロがサウジ関連セミナー

(サウジアラビア、日本)

中東アフリカ課

2020年01月28日

ジェトロは1月22日に東京で、セミナー「サウジアラビアの有望産業と消費市場の魅力」を開催し、149人が参加した。このセミナーは前年に続き、日本とサウジアラビア両国政府が協力して推進する「日・サウジ・ビジョン2030」の関連事業として実施した。ジェトロが2019年度に行った調査の成果普及として、同国の新たな有望分野や消費行動の実態などを日本企業向けに紹介した。

まず、日・サウジ・ビジョンオフィスの佐々木宏行バイスプレジデントが、サウジアラビアの概況とビジョンオフィス・リヤドの活動を紹介した。「ビジョン2030」の成果として、税収増などの財政改革、娯楽の多様化や観光ビザ解禁などの社会改革、エンターテインメント関連イベントの開催などの産業多角化、外資誘致に向けたビジネス環境の改善が進んでいることを説明した。

フロスト&サリバン中東アフリカのサウラブ・ベルマICT&デジタル・トランスフォーメーションBUヘッドは、同社が実施した有望産業調査から、「デジタル産業」「教育産業」「スポーツ産業」の商機を紹介した。

デジタル産業は、従来はハードウエアのビジネスが中心だったが、今後はクラウドや人工知能(AI)、ロボティクスなどの新興サービスが有望なこと、教育産業では、私立学校や職業訓練校に加え、今後は幼稚園の通園が義務化される予定のため潜在性があること、スポーツ産業では、健康意識の高まりを受けて、カフェ向け健康食品やスポーツ飲料・大豆製品、さらに、特に女性のフィットネスセンターのニーズが高まる見込みとの説明があった。

ユーロモニター・インターナショナルは、ラフル・ジャワレ・シニアコンサルタントがサウジアラビア人の消費行動の実態調査の説明を行った。サウジアラビア国民はほぼ全員がインターネットや携帯電話を有し、年齢中位層が男女いずれも35歳以下と若く、リヤドなど大都市での消費が多い。所得水準は高いが、近年は補助金削減などの負担増で安価な製品が好まれ、バーゲン品やプライベートブランドへの関心が高まっているという。ブランド志向が強い半面、貯蓄性向が低く、約2割のサウジアラビア人は銀行口座を持たないという。

消費市場の有望商品としては、食品・飲料ではオーガニックや健康志向の製品、ホテル・ケータリングでは3つ星以上のクラスのホテル、ファッションでは女性向けアイテム、レジャー・娯楽ではeスポーツやオンラインゲームの紹介があった。

写真 佐々木バイスプレジデントの講演(ジェトロ撮影)

佐々木バイスプレジデントの講演(ジェトロ撮影)

写真 フロスト&サリバンのサウラブ・ベルマ氏の講演(ジェトロ撮影)

フロスト&サリバンのサウラブ・ベルマ氏の講演(ジェトロ撮影)

写真 ユーロモニター・インターナショナルのラフル・ジャワレ氏の講演(ジェトロ撮影)

ユーロモニター・インターナショナルのラフル・ジャワレ氏の講演(ジェトロ撮影)

(米倉大輔)

(サウジアラビア、日本)

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