人口当たりATM設置数が東南アジア最低レベル、手数料増額禁止令が影響

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月04日

フィリピン銀行協会(BAP)は11月25日、人口当たりの現金自動預け払い機(ATM)の設置数が、フィリピンは東南アジア諸国の中で最低レベルだと発表した。

BAPによると、人口10万人当たりのATM設置数がフィリピンは20機で、タイの94機、シンガポールの49機、マレーシアの45機、インドネシアの40機と比べて低水準とした。

BAPは、人口当たりのATM設置数が少ない理由として、フィリピン中央銀行が2013年にATM手数料の増額禁止令を発令したことを挙げ、2013年までは全国のATM設置数の増加率が年率で13%だったのに対して、2013年以降は6.4%にとどまっているとした。

フィリピン中銀は2019年に入り、2013年に発令したATM手数料の増額禁止令を取り下げたものの、利用者にとって合理的なATM手数料を設定することを義務化する趣旨の通達を国内の銀行に発出した。

BAPのベンジャミン・カスティーリョ会長は、セキュリティー対策、苦情対応、現金の充填(じゅうてん)作業といった、ATMの保守管理や維持のために必要な経費や手間を鑑みると、ATM手数料の増額を禁止された6年間は銀行にとって厳しい状況だったとした上で、「今後ますます増加する銀行口座保有者数やATM利用総額の潮流に合わせて、国内のATMネットワークを拡大させていく」とした。

フィリピン中銀は9月、フィリピンで貯蓄をしている世帯は37.5%、そのうち銀行口座で貯蓄をしている世帯は25.1%と発表した。貯蓄をしている世帯を1カ月当たりの世帯収入別にみると、1万ペソ(約2万1,000円、1ペソ=約2.1円)未満の世帯の24.0%、1万ペソ以上3万ペソ未満の世帯の39.3%、3万ペソ以上の世帯の63.8%が貯蓄をしていると回答。一方、銀行口座で貯蓄していると回答した世帯を1カ月当たりの世帯収入別にみると、1万ペソ未満の世帯の37.6%、1万ペソ以上3万ペソ未満の世帯の61.6%、3万ペソ以上の世帯の87.2%が貯蓄をしていると回答した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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