従業員数50~299人の企業への週52時間制の適用延期および外国人材の導入計画を発表

(韓国)

ソウル発

2019年12月27日

韓国政府は12月11日、関係省庁合同で「従業員数50~299人の企業への週52時間制普及のための補完対策」を発表した。それによると、2020年1月から施行予定だった従業員数50~299人の企業に対する週52時間制の適用に関し、準備期間の不足などを理由に1年間の啓発期間を設けることとした。また啓発期間中に、人材採用や費用面での政府支援を強化していくと表明した。さらに、特別時間外労働を認める事由である「特別な事情」の要件を、企業の規模を問わずに拡大することとした。「特別な事情」には、通常と異なる業務量の大幅な増加により、短期間で処理しなければ事業運営に重大な支障や損害がもたらされる場合や、国家競争力の強化や国民経済の発展のために必要と認められる研究開発などが含まれる。

12月18日には第27次外国人材政策委員会を開催し、「2020年外国人材導入・運用計画」を議決したと発表した。それによると、2020年の雇用許可制による外国人材(E-9)の規模は、2020年の経済・雇用の展望や週52時間制を考慮し、5万6,000人となった。業種別にみると、2019年の申請数で割り当てを超過した漁業が、2019年より500人増の3,000人となった(表1、2参照)。

表1 2020年の外国人材導入規模
表2 韓国の外国人材の導入規模

また、週52時間制の普及支援策の一環として、外国人の雇用限度枠を引き上げることとした。例えば、週52時間制の導入に当たり、増員を要するものの韓国人の採用が困難な場合、労働時間短縮計画の提出を前提として、外国人の総雇用限度を20%引き上げることができる(注1)。加えて従業員5~49人の企業の場合には、韓国人の雇用人数と関係なく(注2)、年間の雇用限度を2020年に限り30%引き上げることができる。勤務態度などに問題のない労働者として再入国を申請した移住労働者の場合、対象業種をE-9が許容される5つのサービス業種(注3)に拡大し、再入国制限期間を現行の3カ月から1カ月に短縮する。

一方で、不法滞在者の急増による韓国人の雇用浸食問題に対応するため、政府レベルで不法滞在者の取り締まり、不法雇用および不法滞在の予防・管理を強化していくことを表明した。その例として、建設業は外国人滞留資格情報を含んだ電子カード(注4)の発給を公共建設現場全体に広げ、労使政の議論を通じ、外国人材割当方式の合理的な改善案を用意すると発表した。

(注1)従業員数5~299人の製造業の場合。

(注2)通常、外国人の総雇用限度は、業種や韓国人の雇用人数に応じて決定される。

(注3)現在、100人未満の製造業、農畜産業、漁業のみが対象だが、(1)冷蔵・冷凍倉庫業、(2)建設廃棄物処理業、(3)再生用材料収集および販売業、(4)書籍・雑誌およびその他印刷物出版業、(5)音楽およびその他オーディオ物出版業が追加される予定。

(注4)「建設勤労者法」の改正(2019年11月)に伴い、2020年11月から公共部門の適用が義務化。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国)

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