UAEとのFTA交渉開始に意欲、フィリピン貿易産業省長官

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月24日

フィリピン貿易産業省のラモン・ロペス長官は、アラブ首長国連邦(UAE)との自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を2020年にも開始し、2021年3月までの締結を目指す、と渡航先のUAEのドバイにおいて発表した。12月16日付で「ビジネスミラー」および「ビジネスワールド」が伝えた。

ロペス長官は、UAEとのFTA交渉のためのテクニカル・ワーキング・グループを近く立ち上げるとし、FTAの締結によって、フィリピンからUAEへの輸出産品の多様化を図るとした。具体的には、電気銅や半導体、食品、鉱物といった製品のUAEへの輸出を促進したいと説明した。

フィリピン統計庁(PSA)によると、フィリピンのUAEに対する貿易赤字は近年、急増している。2015年時点で1億7,338万ドルの貿易赤字が2017年に1億4,403万ドルに減少したものの、2018年には11億6,095万ドル、2019年1~9月は8億2,013万ドルとなっている。UAEからフィリピンへの輸入(2018年)の内訳をみると、その多くが石油を含む鉱物性燃料で全体の約9割を占める(表1参照)。一方で、フィリピンからUAEへの輸出(2019年1~9月)は、原子炉、ボイラーおよび機械類ならびにこれらの部分品が全体の25%、食用の果実およびナッツ、かんきつ類の果皮ならびにメロンの皮が22%、電気機器およびその部分品ならびに録音機が16.2%を占めるなど、多岐にわたる製品が輸出されていることが分かる(表2参照)。

フィリピン貿易産業省は、UAEとのFTA交渉と並行して、両国間の投資を促進するために、投資促進保護協定(IPPA)の締結についても議論していると説明した。

表1 フィリピンの対UAE輸入統計
表2 フィリピンの対UAE輸出統計

(坂田和仁)

(フィリピン)

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