ロシアのスタートアップが新興国展開経験を紹介

(ロシア)

モスクワ発

2019年12月13日

11月29日に、スタートアップ海外展開支援イベント「ロシア・スタートアップス・ゴー・グローバル」がモスクワで開催され、海外に進出するロシアのスタートアップが自身の経験を語った。

仮想現実(VR)を活用した子供向け教育サービスを提供するアルタイル・デジタルは、インド、東南アジア、南米、アフリカなどに進出している。同社は、競争の少ない小都市や農村に住む子供向け教育に特化しているという。特にインドは大市場だが、営業はインターネットを活用しない「オフライン」で行っており、展示会出展や新聞広告で商品をPRしている。現地にオフィスを持つことも必須と語った。

フィンテックを使ったマイクロファイナンスを提供するマネーロックも、アフリカや南米といった新興国に展開する。アフリカを選択した理由として、規制が緩く、競争も激しくない点を挙げた。また、有名ブランドでなくても市場に受け入れられる余地があるため、市場に入り込みやすく早期に収益を挙げられるという。

一方、ロシアの通信大手も、イノベーションのためにスタートアップの技術を取り込むとともに、ロシアのスタートアップの海外展開も支援している。携帯通信大手MTSはコーポレート・アクセラレーション・プログラム、インキュベーション施設、ベンチャーキャピタル機能を有する「スタートアップ・ハブ」を設けている。アクセラレーション・プログラムの利用は無料で、パイロット事業の実施費用もMTSが負担する。事業化される場合は、MTSが10~30%程度を出資するという。海外には、ドイツ、イスラエル、シンガポールに支援拠点を設け、ロシアのスタートアップの海外展開に加え、海外のスタートアップの発掘に取り組んでいる。

(エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア)

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