公共車両メーカーに補助金制度、2020年初頭にも導入へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月17日

フィリピン貿易産業省は12月3日、公共交通車両(PUV)の製造メーカーに対する資金面での支援制度を2020年初頭にも新たに構築すると発表した。12月4日付の「インクワイアー」など地元各紙が報じた。

同省のラモン・ロペス長官はマニラで12月3日に開催されたフォーラムで、PUVの国内製造を促進するため資金支援を行うと発表した。ロペス長官は具体的な金額は明かさなかったが、政府の支援を受けて製造されるPUVのうち、「クラス1」とされる9~22人乗りのPUVを90万~99万ペソ(約198万~218万円、1ペソ=約2.2円)、「クラス2」の23人乗り以上のPUVを150万~160万ペソで将来は販売する予定だとした。

ロペス長官はさらに、新しい支援制度は2017年にフィリピン政府が打ち出したジプニー(乗り合いバス)などのPUVの近代化プログラムの一環として実施するとした。このプログラムでは、新車登録から15年を超える17万台のジプニーを2020年6月までに廃車にする目標を掲げたが、事業者からの反対などもあり、廃車はなかなか進んでいない。

ロペス長官は11月、包括的自動車産業振興戦略(CARS)プログラムとは別の、国内自動車産業に対する新たな優遇政策を検討していると発表していた。既存のCARSプログラムは、2016年にベニグノ・アキノ政権(当時)が打ち出した国内での自動車生産を補助するもので、国内で新規に生産される四輪自動車3モデルを対象に、2016年から6年間で1モデル90億ペソ、総額270億ペソを支援する。ただし、6年間で1車種20万台の生産を行うこと、部品製造のための新規投資または共用検査施設を設置すること、重量ベースで50%以上を国産化することなど厳しい条件を課したこともあり、トヨタ自動車と三菱自動車の2社のみの申請にとどまり、270億ペソのうち90億ペソ分の予算が執行されていない状況だ。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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