ルーマニア政府、1月1日から最低賃金を引き上げ

(ルーマニア)

ブカレスト発

2019年12月27日

ルーマニア政府は12月13日、2019年12月16日公布の法令2019/935号により、2020年1月1日から最低賃金(賞与などを除く、グロス)を月額2,230レイ(約5万5,750円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約25円)に引き上げると発表した。現行の最低賃金2,080レイからは7.2%増となり、時給ベースでみると1時間当たり12.43レイから13.33レイへの引き上げとなる。なお、大学などの高等教育を必要とする職務の場合、高等教育を受け、なおかつその高等教育の専門分野で1年以上の労働経験を有する従業員の最低賃金(現在2,350レイ)および建設業のフルタイム労働者の最低賃金(現在3,000レイ)は現状のままとなり、今回の引き上げの対象外になった。

政府、全国労働組合などは11月と12月、最低賃金引き上げに伴う影響に関する交渉を行った。これに先立ち、ルーマニア中小企業民間評議会(CNIPMMR)は10月、企業に対し、最低賃金を月額ベースで182レイ、高等教育と1年以上の労働経験を有する労働者に対しては270レイの引き上げを行った場合に想定される影響についての調査を実施している。調査結果によれば、回答した企業のうち、77.8%は引き上げに反対した。理由としては、製品およびサービスの価額高騰(50.0%)、人件費の上昇による従業員数削減の必要(35.7%)、利益の減少(28.6%)、競争力の低下(21.4%)、契約または市場の損失(10.7%)といったリスクへの懸念が挙げられた。

こうした企業側への影響が懸念される一方、ルドビク・オルバン新内閣は、2020年は投資と消費の主導による継続した経済成長が見込まれ、4.1%の成長率達成が可能との見通しを示している。政府は2020年以降、中小企業支援事業などを重点的に推進するため補助金の拡大を予定しており、2020年の中小企業支援のための予算は前年より増加する見込みだ。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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