マクリ大統領が4年間の任期を終了

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年12月19日

アルゼンチンでは12月10日、アルベルト・フェルナンデス政権誕生とともに、マウリシオ・マクリ大統領が4年間の任務を完了した。

2015年には、それまで12年間続いた左派政権による、政治経済の行き詰まりを打破する期待を受けたマクリ氏が大統領に就任し、輸入規制や外貨規制の緩和などを矢継ぎ早に行うことで、ビジネス環境改善に取り組んできた。国際社会からの評価も高まり、2017年6月の100年債の発行時には購入希望額が発行額の4倍にも達した。

しかし、2018年以降は米国の利上げなどにより国内通貨は下落し、インフレ率が高進した。そのため、マクリ政権は金利を引き上げたほか、通貨防衛のために外為市場に介入したが、一方で、外貨準備高が大幅に減少した。このことがさらなるアルゼンチン・ペソ売りを加速させるという負のスパイラルに陥った。その後も、IMFの大型融資を受けるものの、高金利政策の下で経済は低迷。デフォルト(債務不履行)の危機もささやかれる中で、最終的には経済に足を引っ張られるかたちで再選を果たすことができなかった。

経済面では負の遺産を残す結果となったマクリ政権だが、アルゼンチンで長年にわたって主要政党を担うペロン党ではない政党による政権が任期を全うしたのは、1983年の民主化以降では初めてで、さらに過去にさかのぼるとそもそもペロン党が誕生していない1928年のマルセロ・トルクアト・デ・アルベアール政権が最後のケースとなる。また、任期中には、G20のホスト国をはじめ、WTO閣僚会合の開催、EU・メルコスール自由貿易協定(FTA)締結に向けた貢献など、国際社会に積極的に関与してきたことも特筆される。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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