国立銀行は2020年のGDP成長率を3.7%と予測、手堅い消費と労働力不足は継続か

(ハンガリー)

ブダペスト発

2019年12月27日

ハンガリー国立銀行(中央銀行)が2019年12月に発表したインフレーションレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年のハンガリーの実質GDP成長率は3.7%となる見通しだ(表参照)。企業の投資活動が大きく成長に寄与するほか、やや減速するものの個人消費が成長を支える大きな柱となる。これに加え、輸出も成長を牽引するとした。

なお、ハンガリーの経済は、2019年第3四半期(7~9月)に前年同期比5.0%と、EU28カ国の平均成長率を大きく上回る成長率だった。

同レポートによると、家計最終消費支出は2019年が4.9%増、2020年が4.2%増となる予測。低金利や実質賃金の増加などで消費が下支えされる。

投資は2019年が17.8%増、2020年が4.6%増となる見通し。EU基金の減少により、2020年以降、政府による投資は減少する一方、民間投資は有利な金融環境などに支えられる見込み。また、同国経済を牽引する輸出は、新たな生産施設の稼働などにより、2019年は5.9%増、2020年は5.6%増の拡大を見込む。

輸入については、2019年の6.3%増から2020年の5.4%増と拡大幅が縮小するも、原材料を輸入に依存する輸出産業向け、国内消費向けの増加により、成長が継続する見通し。また、2019年の物価上昇率は3.3%、2020年は3.5%と予想した。

雇用に関しては、ハンガリーでは完全雇用に近い状況にあるものの、人口の制約や自動化の進展などもあり、徐々に雇用者数の増加は落ち着いてきている。この結果、失業率は約3.5%にとどまる見通し。ただし、企業による雇用拡大は、人手不足、労働力の技能不足、および労働市場の流動性の欠如により、非常に難しくなっている。

ハンガリーの全部門の平均グロス賃金については、2019年が10.7%増と予想されており、特に民間部門では今後数年間、大幅な賃金増加が続く見通しだ。

表 ハンガリーの主要経済指標

(バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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