全国民を対象に受診履歴を記録した電子パスポート制度導入へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月05日

フィリピン国民一人ひとりの診療、治療、投薬履歴を電子的に記録した医療用のパスポートを全国民に配布する制度を導入するための法案が、今国会で審議されている。

法案立案者の1人であるアラン・ピーター・カエタノ下院議長は、多くのフィリピン国民は過去の健康診断結果や治療履歴を保管する習慣がなく、患者の正しい受診履歴を病院が把握できないことに起因する誤診も発生しているとした。また、治療に緊急を要する際には特に電子記録が必要となるとし、法案成立の必要性を指摘した。

カエタノ下院議長はさらに、電子パスポートには7つの情報が記録されるとし、(1)医者、歯医者、その他医療関係者が記録した患者の受診履歴、(2)健康診断および歯科検診の結果、(3)診断方法、(4)投薬履歴、(5)基本的な医療データ、(6)医療制度上で利用可能な補助制度、(7)電子パスポート制度において患者が主張可能な権利や特典、と説明した。

また、別の法案立案者のビクター・ヤップ下院議員は、電子化された受診履歴など個人情報の流出が発生した際には、厳しい罰則を設けるとした上で、「個人情報を不正に流出させた者は1年から3年の禁錮または50万ペソから200万ペソ(約105万円から約420万円、1ペソ=約2.1円)の罰金を科す」と述べた。また、重要な個人情報を流出させた場合には、3年から6年の禁錮または50万ペソから400万ペソの罰金を科すとした。

フィリピン保健省のエンリケ・タヤグ次官補は下院公聴会において、保健省として同電子パスポート制度構築法案の成立を支援すると表明した。

ドゥテルテ大統領は2019年2月、フィリピンの全国民をフィリピン医療保障公社(フィルヘルス)の健康保険に加入させ、国民皆保険(ユニバーサルヘルスケア)を実現する、ユニバーサルヘルスケア法に署名した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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