サービスチャージ法施行細則、近く公布、サービス業の人件費に影響

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月22日

フィリピンで「ホテル、レストランその他同様の施設で徴収するサービス料の全額を、サービスを提供する被雇用者に配分することを定める法律(共和国法第11360号)」(以下、サービスチャージ法)の施行細則が近く公布される。

サービスチャージ法は、これまでサービス料の85%をサービスを提供する被雇用者に、15%を雇用者に配分することを定めていた労働法96条を改正したものだ。

徴収したサービス料は被雇用者の基本給に参入され、基本給をベースに退職金やボーナス、時間外労働や週休労働の割増料金が算出されるため、サービス料を受け取るサービス業の人件費上昇につながると考えられる。雇用者側は15%のサービス料を受け取れなくなる。サービスチャージ法はまた、法定最低賃金が上昇した場合に当該上昇分を今回のサービスチャージ法による賃金上昇分と相殺することを禁じる。

サービスチャージ法は8月9日にドゥテルテ大統領が承認し、60日後の11月2日までに施行細則が公布される予定だったが、11月13日時点ではまだ公布されていない。

サービスチャージ法は、人件費上昇分を消費者に転嫁するか否かについて規定しておらず、施行細則でも定められなかった場合は、フィリピン全体のサービス業の価格上昇につながる可能性もある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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