アジア日系企業のFTA・EPA活用率が初の「50%台」に向上、2019年度日系企業調査

(アジア、オセアニア)

アジア大洋州課、中国北アジア課

2019年11月22日

ジェトロが8~9月に実施した「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、アジア日系企業の自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)活用率は52.4%と前年に比べて4.1ポイント拡大し、初めて50%台に達した(図参照)。輸出・輸入を行っている日系企業では、FTA・EPAを活用する企業が活用しない企業を上回るようになった。

図 アジア日系企業のFTA・EPAの活用率の推移

企業規模別にみると、大企業の活用率が55.8%、中小企業は47.2%と大企業での利用が多い中、中小企業では11.0%が検討中と回答し、潜在的な利用拡大が期待できる。さらに、「活用予定なし」(38.4%)と回答した企業は元来、輸出入品が無税、あるいは関税のかからない自由貿易地域(FZ)に立地している企業なども含んでいるとみられ、このことを勘案すると、FTAを必要とする企業の間ではFTAの活用は数字以上に進んでいるとみられる。アジアの日系企業はFTA・EPAを活用した域内のサプライチェーンを構築し、域内・各国市場向けの販売をより志向する傾向にあることが読み取れる。

また、国・地域別にみると、活用していると回答した企業はパキスタン(76.9%)、インドネシア(69.6%)、韓国(62.2%)、タイ(59.5%)の順に高い結果となり、在ASEAN日系企業のFTA・EPA活用率は、輸出(50.2%)、輸入(53.4%)ともに初めて5割を超えた。

調査結果の概要は、ジェトロの「2019年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」(2019年11月)で閲覧できる。

(三木貴博)

(アジア、オセアニア)

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