第3四半期のGDP、速報値ではわずかに成長

(ドイツ)

ベルリン発

2019年11月21日

ドイツ連邦統計局は11月14日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の速報値を前期比0.1%と発表した(図参照)。前年同期比でも1.0%と(注1)、第2四半期(4~6月)のマイナス成長から回復した。

図 ドイツGDP成長率の推移

第3四半期のプラス成長を牽引したのは個人および政府による消費支出で、ともに前期より上昇した。財貨・サービスの輸出入では、ドイツ経済を支える輸出は増加したが、輸入は前期とほぼ同程度にとどまった。建設投資も前期より増加したが、設備投資はマイナス成長となった。

第3四半期における就業者数は4,540万人を記録、前年同期と比べ35万6,000人(0.8%)増となる。

ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長は14日のプレスリリースで、「ドイツ経済はわずかに成長を示したが、輸出志向のドイツ産業にとって景気の見通しは依然として暗いままだ」として、公共投資を増やし、民間投資の条件を改善する政策の迅速な実行を政府に求めた。ラング事務局長はその一歩として、旧東ドイツ地方支援のために1991年に導入された連帯付加税(注2)を2020年から全面廃止することを提案した。

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)マルティン・バンスレーベン最高経営責任者(CEO)も同日、「未解決の英国のEU離脱問題、貿易摩擦、制裁関税や世界経済の全般的な減速など、外交政策上の不確定要素は息つく暇も与えない」と、海外ビジネスの先行きの不透明さを指摘し、国内の投資を促進する政策、特に税制改正の重要性に言及した。

なお、今回の連邦統計局の発表で、第2四半期の成長率はマイナス0.1%からマイナス0.2%に下方修正された。

(注1)2019年第3四半期は前年同期と比べて休日が少ないため、就業日数を考慮すると0.5%となる。

(注2)旧東西ドイツの経済格差を是正するための税で、2021年に納税者の約9割を対象に廃止する大幅削減を実施する予定。

(高田勝敏、中村容子)

(ドイツ)

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