ドゥテルテ大統領、プラスチック使用禁止の法整備を提言

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月15日

フィリピンのサルバドール・パネロ大統領報道官は11月7日、ドゥテルテ大統領が前日の閣議でプラスチック使用禁止の法整備を進めるべきと提言したと発表した。地元各紙が報じた。パネロ大統領報道官によると、ドゥテルテ大統領は、マニラ湾が廃棄プラスチックで汚染された状況や、昨今の世界的な気候変動を懸念しており、フィリピン国内でのプラスチックの使用禁止を進めるべきとの考えに至ったという。

7月下旬に開会した第18次国会では、使い捨てプラスチック製品の使用を禁止する法案が下院で20、上院で7つ提出された。うち、上院で審議されている法案第333号は、施行後1年以降に使い捨てプラスチックの使用を禁止する。施行から1年以内に製造された使い捨てプラスチックを消費者に提供する場合は最低5ペソ(約11円、1ペソ=約2.1円)を消費者に請求し、徴収した総額の80%を政府が創設するファンドに四半期ごとに納めることを規定し、違反した場合の罰金や事業認可の取り下げを定めている。また、使い捨てプラスチックの輸入の禁止も盛り込んだ。

地方自治体レベルでは、既にプラスチックの使用を規制または禁止する条例を制定する自治体は8月末時点で58存在するが、その数は全国の4%にとどまる(2019年10月3日記事参照)。

国内の環境保護団体Global Alliance for Incinerator Alternatives(GAIA)が3月に発表した資料によると、フィリピンでは年間206億枚のプラスチック製レジ袋が使用され、国民1人当たり年間591枚のプラスチック包装、同163枚のごみ袋、174枚のプラスチック製レジ袋を使用している。また、国連環境計画(UNEP)の2015年発表の資料によると、フィリピンでは日量6,876トンのプラスチックが廃棄されており、うち81%が適切な方法で処分されていない。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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