第3四半期のGDP成長率はマイナス2.9%、過去10年で最悪

(香港)

香港発

2019年11月07日

香港特別行政区政府(以下、香港政府)統計処は10月31日、2019年第3四半期(7~9月)の香港の実質GDP成長率の推定値が前年同期比でマイナス2.9%だったと発表した。四半期ベースでマイナス成長となったのは、2009年第3四半期以来10年ぶり(図参照)。なお、第1~3四半期(1~9月)の実質GDP成長率はマイナス0.7%となった。

図 香港の実質GDP成長率の推移(四半期ベース)

GDP成長率を需要項目別にみると、政府消費支出を除く全ての項目が前年同期比で減少した。個人消費支出は3.5%減と、前期(1.3%増)から4.8ポイント低下した。政府消費支出は5.3%増と、前期(4.0%増)から1.3ポイント上昇したものの、固定資本形成は16.3%減と、2桁減となった前期(10.8%減)からさらに5.5ポイント下落した。

貿易は、財輸出が7.0%減と、前期(5.4%減)より1.6ポイント下落し、財輸入も11.1%減と、前期(6.7%減)より4.4ポイント下落した。サービス輸出は13.7%減と、前期(1.1%減)より12.6ポイント下落し、サービス輸入は3.8%減と、前期(1.3%減)より2.5ポイント下落した。

香港政府報道官は10月31日のプレスリリースにおいて、第3四半期のGDP成長率が落ち込んだ理由について「香港における社会混乱が深刻な影響をもたらした」と説明した。また、季節調整済みの前期比成長率がマイナス3.2%となったことを踏まえ、香港経済が景気後退局面に突入したと表明した。今後の見通しについては、「輸出は目に見えて改善する気配はなく、社会混乱が収束する兆候も見られない。引き続き、香港の消費および投資マインドに悪影響が及ぶだろう」と指摘した上で、「香港経済は、年末にかけても景気の下振れ圧力が継続する。2019年通年の香港経済がマイナス成長となる事態は避けられない」との見方を示した。

なお、香港政府は11月15日に修正後のGDP成長率およびその他の経済分析の結果を公表する。

(吉田和仁)

(香港)

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