クウェートで抗議デモを受け内閣総辞職、サバーハ新首相が就任

(クウェート)

ドバイ発

2019年11月28日

クウェート国営通信は11月19日、クウェートのサバーハ・アル=アフマド・アル=サバーハ首長が、新しくサバーハ・アル=ハリード・アル=サバーハ首相を任命したと発表した。サバーハ新首相は1978年にクウェート外務省に入省、国連クウェート政府代表部での勤務後、サウジアラビア大使を務めた外交官で、サバーハ首長のおいにあたる。1998年に閣僚級の国家安全保障局長官として政界入りし、2006年に社会問題労働相として初入閣、2011年に外相に選出されて以降、おおむね副首相職を兼任してきた。

今回の新首相任命は、2011年から在職してきたジャービル・ムバラク前首相が11月14日、サバーハ首長に対し内閣総辞職を申し出たことを受けてのもの。クウェートでは11月6日、汚職に抗議する数百人の市民が国会前に詰めかける事態となっており、複数の閣僚が不正に関する回答要求を突き付けられるなど、議会も紛糾していた。

混乱を避けるためかサバーハ首長は、長男のナーセル防衛相とハーリド内相を19日、新首相の任命に先立って解任している。AFP通信は16日付の記事で、同防衛相が今回の総辞職に関して「自身が防衛省を率いる2017年以前に、7億8,900万ドル相当の軍事費が横領されていた疑惑によるもので、首相や内相を追及していたが満足な回答が得られなかった」と話したことや、市民の抗議デモの様子などを事態の要因として伝えている。

サバーハ新首相は同国第36代内閣の組閣作業を開始しており、現地紙「クウェート・タイムズ」(11月20日)が政府筋の話として、商工相などのポストに国会議員から2人を初選出し、前政権からは1人が続投となったことを伝えている。同内閣は発足後、次回2020年11月に予定されている総選挙まで継続する見込み。クウェートは首長制であるものの、憲法に基づき民選による国民議会(一院制、定数50、任期4年)を有しており、議会の紛糾による内閣総辞職や改造がしばしば行われている。

(田辺直紀)

(クウェート)

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