2020年にも世界一のニッケル生産国へ、インドネシアの禁輸措置が影響

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月08日

インドネシア政府のニッケル鉱石の輸出を禁止する方針を受け、フィリピンは2020年に世界最大のニッケル生産国となる見通しだ。地元各紙が報じた。2018年のニッケル鉱石生産量はインドネシアが56万トンと世界最大で、フィリピンは34万トンで2位だった。

インドネシア政府は8月、国内のニッケル精錬所へのニッケル鉱石の供給量を確保するため、当初2022年1月としていたニッケル鉱石の禁輸措置の発動を2020年1月に早めることを発表した。10月28日には、割当量を大幅に超過した輸出者がいるとの疑いなどから、政府と国内事業者が合意の上、翌29日から約2週間、禁輸措置を一時的に実施すると報道され、同日のフィリピン証券取引所上場のニッケル関連企業の株価が軒並み上昇する動きを見せた。

地場証券会社のティムソン・セキュリティーズの関係者は、インドネシアのニッケル鉱石の禁輸措置はフィリピンのニッケル関連企業に大きな利益をもたらすとした上で、「世界のニッケル鉱石の市場価格が上昇し、ニッケル・アジアやグローバル・フェロニッケルといったフィリピンのニッケル輸出企業はその恩恵にあずかるだろう」と地元メディアに説明した。

フィリピン統計庁(PSA)によると、2018年のフィリピンのニッケルおよびその製品(HSコード第75類)の輸出額は3億8,441万ドルで、うち99.5%に当たる3億8,248万ドルを日本に輸出している。

(坂田和仁)

(フィリピン)

ビジネス短信 5d61e9993e7a28ad