中国DiDi、フィリピン配車サービス市場参入に向けて交渉開始

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月08日

中国の配車サービス大手の滴滴出行(ディディ・チューシン、以下、DiDi)がフィリピンの配車サービス市場参入に向けて、下院議員のルイス・シンソン氏と交渉に入っていることが分かった。11月4日付の地元各紙が報じた。

シンソン氏は、U-Hop Transport Network Vehicle System(以下、U-Hop)という配車サービス会社のほか、バス会社や自動車ディーラー会社を保有している。同氏は交渉内容の詳細は明かさなかったが、「DiDiと組むことでグラブの独占状態を打破したい」と地元メディアに説明した。2018年のグラブによる米国ウーバーの買収以降、フィリピンの配車サービス市場はグラブの一強状態となっている。

1936年に成立した現行の公共サービス法は、フィリピン人もしくはフィリピン人が60%以上出資する企業だけに公益事業の運営・管理業務への参入を認めている。公益事業の定義を定めていないため、配車サービスも公益事業と見なされ、外資参入の妨げとなっている。2018年にはインドネシアの配車サービス大手のゴジェックがフィリピン市場参入を図ったが、外資出資比率が40%を超えていたため、営業許可の申請を却下された。7月に開会した第18次国会では、同法の公益事業の定義を明らかにし、送配電と配水、下水道の3分野に限定する公共サービス法改正案を審議している。

DiDiはアジア、南米、オーストラリアなどへの進出を加速しており、同社ウェブサイトによると、利用者は5億5,000万人を超える。日本では2018年にソフトバンクと合弁会社「DiDiモビリティジャパン」を設立し、タクシー配車サービスの提供を開始している。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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