トカエフ大統領、移民警察における外国人登録の廃止を指示

(カザフスタン)

タシケント発

2019年11月11日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は10月29日、アルマトイ市行政の会合で、移民警察における外国人登録義務を廃止するよう指示した。

カザフスタンでは、5日以上(出入国日を含む)滞在する外国人は、入国後5日以内に到着した空港(注1)、あるいは内務省移民警察内の外国人登録窓口で外国人登録を行う義務がある(注2)。言葉が分からない旅行者にとって、自力で移民警察局を探し出し、英語の話せない移民警察官とやりとりをすること自体が大きな負担となる。さらに、登録手続き中は移民警察にパスポートを預けるため、手続き完了まで手元にパスポートがない状態で過ごさなければならない。

トカエフ大統領は「政府が国外からの投資家と観光客の誘致を強化しようとしている中で、この手続きは国際基準から離れた時代錯誤だ。国の評判を損なっているだけでなく、腐敗の温床にもなっている」と指摘した(注3)。デジタル技術などを活用して、国境での入国手続き時に登録も完了する簡素な仕組みを年内に構築するよう、内務省に命じた。内務省はこれを受け、情報システムとデータベースの統合を進め、2019年内に問題の解決を図ると表明している。

外国人登録の制度に関しては、2019年10月にアルメニアと米国からの旅行者2人がツアーに参加するためアルマトイに訪れた際、外国人登録手続きのために時間が費やされ旅行が台なしになったことや、移民警察での対応の悪さをブログに掲載し、ネットに拡散していた。

(注1)空路での入国の場合、空港での入国審査時に外国人登録も同時に行われる。

(注2)国内の都市間を移動する場合には、宿泊ホテルで外国人登録が行われるため、通常の出張者や団体旅行客について問題になることはまれ。一方、個人旅行客などが5日以上、知人宅での滞在や民泊する場合は、移民警察での外国人登録が必要となる。

(注3)2018年4月にアルマトイ州タルディコルガン市、2019年10月にはコスタナイ市で、移民警察官が収賄で逮捕されている。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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