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混迷深まるイラク、主要会派がアブドルマフディ政権を不支持

(イラク)

ドバイ発

2019年11月01日

市民による大規模な反政府デモが継続しているイラクで10月29日、議会第1会派を率いるイスラム教シーア派宗教指導者ムクタダ・サドル師が、第2会派を率いるシーア派民兵組織ハディ・アミリ司令官の協力を呼び掛けた上で、アデル・アブドルマフディ首相に対し、早期の選挙実施に応じなければ直ちに不信任の投票をすると書簡で通知した。議会の2大派閥である両陣営が一致すれば、政権運営への影響は避けられない見通しとなる。サドル師の派閥にある共産党議員をはじめとして、抗議のための議員辞職も相次いでおり、議会の混迷は深まっている。

10月1日から発生した反政府デモは、シーア派の宗教行事「アルバイーン(18、19日)」を挟んでいったん沈静化したものの、アブドルマフディ政権発足から1年となる10月25日にあらためて大規模なデモが呼び掛けられ、翌26日にはデモ隊が対応策を議論するため、再招集されたイラク国民議会のあるバグダッド中心部の「グリーン・ゾーン」内まで進入した。混乱はバグダッドのみならず全国に拡大しており、28日にはシーア派の聖地カルバラーで座り込みをしていたデモ隊への攻撃があり、多数の死傷者が出る事態になっている。AFP通信(10月31日付)の報道によると、デモ開始からの死者は250人以上、負傷者1万人以上と伝えられている。

抗議の多くは学生を含む若年層で、基本的な生活基盤や雇用の欠如、その背景にある行政機構の機能不全や政府の腐敗への不満が噴出した格好だ。市民に対する実弾を含む武力を行使しているのは治安部隊とみられるが、英紙「ガーディアン」やロイターによると、管轄する内務省は「どのように武力行使が行われたか調査する」との声明を出し、首相も「このような状況を続けることはできない」と調査を約束した。バルハム・サーレハ大統領も抗議参加者やメディアに対する武力行使を非難した。

経済面での影響も大きく、ロイター(10月30日付)は南部の主要港湾ウンム・カスル港がデモ隊による業務妨害で平時の2割程度の運用となり、さらに、30日に業務を完全に停止したと伝えている。11月1日からの開催が予定されていたイラク最大の見本市「バグダッド国際見本市」も、10日間の繰り延べが決まった。2017年12月に過激派組織との終戦が宣言されて以降、国内の治安情勢は相対的に回復していたが、今後の復興の進展が懸念される。

写真 バグダッド市内の主要道路に集まるデモ隊の様子(ジェトロ撮影)

バグダッド市内の主要道路に集まるデモ隊の様子(ジェトロ撮影)

(田辺直紀、オマール・アル=シャマリ)

(イラク)

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