イスラエルとイランがドバイ万博参加へ、カタールは参加方法を協議中

(アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、カタール)

ドバイ発

2019年11月22日

イスラエル政府は11月10日、アラブ首長国連邦(UAE)で開催される2020年ドバイ国際博覧会(会期:2020年10月20日~2021年4月10日)(以下、ドバイ万博)への参加に向けたパビリオン・プロジェクトを正式に承認、ロネン・ペレツ首相府次官補とユバル・ロテム外務次官が主導する運営委員会を発足させた。併せて公開されたパビリオン・デザインは四角いアーチ型のスクリーンが7つ連なる筒箱状の半屋外形式を採用、展示エリアでは水、情報、医療技術をはじめとするさまざまな分野の技術をインタラクティブな方法で紹介する。イスラエル紙「エルサレム・ポスト」(11月11日)によると、万博参加の予算は5,530万シェケル(約17億1,430万円、1シェケル=約31円)と見込まれている。

UAEは他の湾岸諸国と同様に、イスラエルを国家として承認しておらず、国交がない。イスラエル国籍者、あるいはイスラエルへの入国査証がある者のUAEへの入国は原則として認めていないが、UAE政府筋が「国際イベントであるドバイ万博への参加について、阻害するつもりはない」と言及した、と米国系通信社メディアラインが報じており、複数のイスラエル紙も、両国の行政機関がイスラエル人の入国に向けて協議中であることを伝えている。

一方、イランは地域情勢をめぐって2016年からUAEとの外交関係を格下げし、相互に大使を本国召還しているが、商務省傘下のイラン国際見本市公社がドバイ万博への参加を7月に表明した。現在公開されているイラン・パビリオンのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、モビリティ地区の2,014平方メートルの敷地に建設するパビリオンのデザインが掲載されている。2017年6月からUAEと断交しているカタールは参加を表明しているが、ドバイ万博公社(以下、公社)と詳細について協議を行っている、と4月にUAE経済誌「アラビアン・ビジネス」が報じている。その後の進展についての情報はない。

公社は、MENASA(中東・北アフリカ・南アジア)地域での初開催と位置付けるドバイ万博に、192カ国・機関の参加、来場者目標数の約7割(1,750万人)がUAE国外からとの見込みを発表している。公社は開催コンセプトである「心をつなぎ、未来をつくる」という標語の下、「例外なく全ての国を招待する」と開催立候補時から宣言しており、係争のある国も含め「真正な国際イベント」(同宣言)としてどれほど成就できるかが注目されている。

(田辺直紀、安井梓)

(アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、カタール)

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