10月の自動車販売、祝祭シーズンの特需で乗用車が1年ぶりの前年同月比プラス

(インド)

ベンガルール発

2019年11月22日

インド自動車工業会(SIAM)は11月11日、10月の自動車統計を発表した。乗用車販売台数〔スポーツ用多目的車(SUV)とバンを含む〕は前年同月比0.3%増の28万5,027台となり、2018年10月以降初めてプラス成長に転じた。一般乗用車は前年同月比6.3%減の17万3,649台、バンは35.1%減の1万653台とそれぞれ落ち込みを続ける一方、SUVは22.2%の大幅増となり、販売規模が初めて10万を突破した。SIAMは「ヒンドゥー教の大祭『ディワリー(灯明祭)』に向けて、メーカー各社が新モデルの投入と値引きキャンペーンを行い、需要を後押しした」と分析した。

メーカー別の乗用車の月間販売は、首位のマルチ・スズキは前年同月比2.3%増の13万9,121台で、1年ぶりにプラス成長に転じ、2位の現代自動車は前年割れしたものの、3.8%減の5万10台となった(表1参照)。2桁ペースで販売が落ち込んでいた7~9月に比較すれば、回復の兆しが見えている。主要メーカー13社では3社がプラス成長を記録した。特に、起亜自動車の「セルトス」、MGモーターの「ヘクター」、ルノーの「トライバー」などの小型SUVの販売が好調で、乗用車全体の需要増に大きく寄与した。

表1 10月の主要メーカー別乗用車国内販売台数

二輪車は、前年同月比14.4%減の175万7,264台にとどまり、減少が12カ月連続で続いた。しかし、7~9月の2割前後の落ち込みよりは減少幅は縮小した。SIAMによると、マハーラーシュトラ州やウッタル・プラデシュ州など主要州での洪水の影響を受け、二輪車の需要が祝祭シーズンでも予想どおり回復しなかったという。メーカー別では、主要メーカー8社のうち、スズキを除く7社が引き続きマイナスとなった(表2参照)。

表2 10月の主要メーカー別二輪車国内販売台数

商用車と三輪車を含む10月の自動車販売は、前年同月比12.8%減の217万6,136台だった(表3参照)。SIAMは「祝祭シーズンの特需により各部門の需要は回復基調にある。11月以降は、新たな排ガス規制『BS-VI』導入前の駆け込み需要などによる販売の回復を期待するが、通年ではプラス成長を達成するのは難しい」との見方を示している。

表3 10月の部門別自動車の販売台数

(ディーパック・アナンド)

(インド)

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