アフリカ最大のICT会議「AfricaCom」、ケープタウンで開催

(アフリカ、南アフリカ共和国)

中東アフリカ課

2019年11月20日

南アフリカ共和国のケープタウンで11月12~14日、アフリカ最大規模の情報通信技術(ICT)関連イベント「AfricaCom2019」が開催された。来場者は延べ1万5,000人、スピーカー450人、出展企業数は500社に上った(注)。会場では企業展示ブースのほか、テーマ別〔モノのインターネット(IoT)、第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)、フィンテック、スタートアップ、グロックチェーン、卸売業向け通信システム、動画ストリーミング〕に分かれて講演セッションが設けられた。

基調講演では、南アのステラ・ンダベニ・アブラハムス通信相が「アフリカ諸国は連携して第4次産業革命(4IR)を推進している。デジタルスキル向上のため、今後3年間で100万人のデータサイエンティストの育成を目指す」と強調した。南ア大手携帯電話事業者MTNの幹部は「従来の事業の枠を越え、デジタル全体のオペレーターとして変化することを目指す。フィンテックや交通、デジタルプラットフォーム、セキュリティー、クラウド、IoTなどを網羅的に運用する」との戦略を明かした。

写真 政府要人や企業関係者によるパネルディスカッション(ジェトロ撮影)

政府要人や企業関係者によるパネルディスカッション(ジェトロ撮影)

スタートアップ関連の議論では、テクノロジーを用いた社会課題の解決という理念を原動力に、起業は加速するとの見通しで一致した。物流や交通、Eコマース、保険が有望で、社会課題が残るこれらの分野でリープフロッグ(一足飛びの技術革新)の可能性が示唆された。一方、モバイルマネーを含むフィンテック市場は既に飽和状態にあり、プリペイド方式による水道・電気の供給サービスも供給過多で、数年内には経営難が相次ぐとの指摘もあった。

企業ブースでは、通信大手(オラクル、インテルなど)、携帯電話事業者(南アのボーダコム、フランスのオレンジなど)のほか、中国企業〔華為技術(ファーウェイ)、チャイナモバイル、チャイナテレコムなど〕が出展した。日本企業では、日本電気(NEC)が基地局向け再生可能エネルギーシステムやネットワーク構築事業などを出展したほか、フジクラが光融着接続機などを展示した。NECの政策渉外部グローバル渉外室主席主幹の久木田信哉氏が12日のセッションで、同社のIoTの事例として現在実証を行っているスマートシティーについてプレゼンを行った。

写真 スタートアップゾーンの様子(ジェトロ撮影)

スタートアップゾーンの様子(ジェトロ撮影)

写真 企業展示ブース(ジェトロ撮影)

企業展示ブース(ジェトロ撮影)

(注)主催者インフォーマテック(informa tech)の発表。

(高崎早和香)

(アフリカ、南アフリカ共和国)

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