欧州議会、次期欧州委員3候補に対する公聴会開催へ

(EU)

ブリュッセル発

2019年11月13日

欧州議会は11月12日、次期欧州委員会人事案のうち、承認が得られていないフランス、ハンガリー、ルーマニア指名の委員候補者(2019年10月11日記事参照)に対する公聴会を11月14日に開催すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長率いる次期欧州委は11月1日に発足する予定だったが、人事が固まらないなどの事情から、まだ始動できない事態となっている。

新たな人事案審議が紛糾すれば,さらなる欧州委発足の遅れも

11月14日の公聴会に出席する3候補は次のとおり。

  • フランス:ティエリー・ブルトン(域内市場・産業・デジタル単一市場担当)
  • ハンガリー:オリベル・バルヘリ(欧州近隣政策・拡大交渉担当)
  • ルーマニア:アディナ=イオアナ・バレアン(運輸担当)

欧州議会によると、前回の欧州委員人事案では、上述3ポストの候補者のうち2人が所掌業務との関係で「利益相反」があると欧州議会法務委員会が判断したが、今回の3候補者について、法務委員会は「利益相反はない」としたとみられている。

他方、欧州議会の議席数で第4会派の「欧州緑の党・欧州自由同盟(GREENS/EFA)」グループは11月12日付の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「ブルトン候補が(最高経営責任者を務めた)ATOSや他の経営者を利する政策決定をどのように拒否できるのか明確にすべき」と指摘しており、公聴会での慎重な審議を求める姿勢だ。

第2会派の「社会・民主主義進歩連盟(S&D)」グループ(中道左派)も同日付の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、法務委員会ではブルトン候補が保有していたATOS株の売却処理に関わる追加質問が行われず、右派勢力の支持によって「利益相反はない」との判断を急いだ点について、「われわれのグループ所属議員は落胆を表明している」とコメントした。

新たな欧州委員人事案の審議では、ブルトン候補の妥当性が1つの焦点となりそうだ。

(前田篤穂)

(EU)

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