統一選挙実施は2020年5月の予定、アビィ首相が表明

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年11月06日

エチオピアのアビィ・アハメド首相は10月22日の国会答弁で、統一選挙は2020年5月を予定しているとした。国政選挙と併せて、特別行政区の首都アディスアベバとディレダワの選挙も同時期に実施される見込みだ。

アビィ首相はかねて民主化プロセスを進める中で、「先進諸国と全く同じ水準とはならずとも、平和裏に選挙を行うことが大事」など発言していた。今回も「完璧な選挙とはいかないまでも、民主主義とは文化であり、経験を通じて根付いていく。困難から逃げるのではなく、立ち向かうことが民主主義の構築と強化につながる」と説明したと報じられている(「エチオピア・ヘラルド」紙10月23日)。

国内情勢をみると、80超の多民族を抱え、現在も民族主義的な勢力が示威的活動をやめていない。こうした中、2019年4月に予定していた国勢調査も延期された。野党は合従連衡を進めるが、満たすべき必要党員数などの政党要件をめぐっては、政府・与党と対立しており、2020年内の選挙実施は難しいとの見立ても一部にはある。

一方で、国勢調査の延期はそもそも選挙に影響しないとみる専門家もいる。ジェトロ・アジア経済研究所でエチオピア地域研究に携わる児玉由佳ジェンダー・社会開発研究グループ長は「過去を振り返ると、国勢調査は実施から結果の公表まで数年かかっている」と指摘しており、選挙区割りとは必ずしも連動しないようだ。

国際社会は、エチオピアの民主化に向けた努力を好感しており、選挙実施に向けた資金援助などで支える構えもみられる。日本政府が国連開発計画(UNDP)を通じて300万ドルほどを拠出しているのに加え、英国、デンマーク、フィンランド、アイルランド、ノルウェー、スウェーデンが支援を表明済みだ。

(関隆夫)

(エチオピア)

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