車両利用税の国民皆保険プログラムへの割り当てに反対の声
(フィリピン)
マニラ発
2019年10月10日
9月30日に開催されたフィリピン下院歳入委員会において、ジョーイ・サルセダ下院歳入委員長が提案する車両利用税の一部の国民皆保険プログラムへの割り当てについて、複数の議員から反対の声が上がった。
ルイス・レイムンド・ビリヤフェルテ下院議員は「国民皆保険プログラムの重要性は十分に承知するが、車両利用料法に基づいて徴収した税金は公共事業道路省(DPWH)や運輸省(DOTR)に100%割り当てられるべきだ」と主張した。また、エストゥレリータ・スワンシン下院歳入副委員長も「税金の徴収対象とその使用対象が異なることは好ましくない」と述べた。
ジョーイ・サルセダ下院歳入委員長は、車両利用料法に基づいて徴収した税金の50%を、2019年2月にドゥテルテ大統領が署名して成立した国民皆保険プログラム法に基づき、2020年1月から実施される国民皆保険プログラムに充当し、残りの50%をEUの排ガス基準「ユーロ4」対応の環境性能の高い公共交通車両(PUV)の導入経費などに使用することを提案している。
また、国民皆保険プログラムの主な受益者である低所得者層が、車両利用税によって新たな税負担が課せられるという批判に対して、サルセダ下院歳入委員長は、車両利用税は新車価格の0.5%にすぎず、フィリピン国内で車を運転する人の85%は上位30%の富裕層だとした。また、比較的所得の低い層が多く保有する二輪車については、車両利用料税を免除すると説明した。
財務省のテレサ・ハビタン次官補は「現在、国会で審議されているたばこやアルコールに対する増税法案が成立したとしても、国民皆保険プログラムのための財源が640億ペソ(約1,344億円、1ペソ=約2.1円)ほど不足する状況だ」と主張した。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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