模倣品の破壊式にジュリン副首相が参加、1,000万点超の模倣品を破壊

(タイ)

バンコク発

2019年10月02日

タイ商務省知的財産局(DIP)は9月12日、バンコク郊外で、模倣品および海賊版(以下、模倣品)の破壊式を開催した。同イベントはここ数年行われており、今回はジュリン副首相兼商務相も参加した。

式では、ジュリン副首相および関係者らが、ロードローラーやハンマーなどを用いて、タイ警察、税関および法務省特別捜査局(DSI)によって摘発された合計約1,060万点〔約5億5,000万バーツ(約19億2,500万円、1バーツ=約3.5円)〕の模倣品を破壊し、タイにおける模倣品の撲滅をアピールした。

写真 破壊式のオープニングセレモニー(ジェトロ撮影)

破壊式のオープニングセレモニー(ジェトロ撮影)

写真 ロードローラーで模倣品を破壊するジュリン副首相ら(ジェトロ撮影)

ロードローラーで模倣品を破壊するジュリン副首相ら(ジェトロ撮影)

タイは2006年以降、11年連続で米国通商代表部(USTR)から「スペシャル301条報告書」(注)の「優先監視国」に指定され、知的財産の保護環境の整備を求められていた。その後、タイ政府の努力もあり、一定程度、状況が改善されたことから、2017年に「優先監視国」から1つ軽度の「監視国」に変更された。

一方、タイを含むメコン地域では主要幹線道路を経済回廊として整備を進めてきた結果、陸路でのタイへの輸入貿易額は近年、増加しており、そのことからも、陸路での模倣品の流入が増加しているとみられている。一例として、タイ商務省によると、カンボジアからタイへの輸入貿易額は、2012年の74億バーツから、2016年には356億バーツと約5倍に増加している。またタイ税関によると、カンボジア・タイ間の主要な国境であるアランヤプラテートでの模倣品の取締り件数は、2012年の19件から、2016年には150件と急増していた。

今回破壊された模倣品は、衣服、靴、時計、DVD、たばこなどと多岐にわたっており、イッセイ ミヤケのカバン、サンリオのグッズ、キヤノンの双眼鏡、トヨタの自動車部品といった日本企業の商品を模倣したものも含まれていた。

ジュリン副首相は開会あいさつで、「タイ政府は、知的財産、とりわけ知的財産権の権利行使や国民の知財意識の向上に努めている」と述べた。

(立石崇晴)

(タイ)

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