ジェトロ、初の商談重視型オープン・イノベーション・ミッションを北欧3カ国で実施

(スウェーデン、フィンランド、エストニア)

ロンドン発

2019年10月29日

ジェトロは9月30日から10月4日にかけて、北欧3カ国(スウェーデン、フィンランド、エストニア)にオープン・イノベーション・ミッションを派遣し、現地スタートアップ企業と日本企業との商談会を行った。「視察型」ではなく、日本企業8社(エストニアのみ9社)によるリバースピッチ(注)、ネットワーキング、個別商談を軸にすることで具体的な成果を追求するなど、初の「商談重視型」としての取り組み。

高度にデジタル化した社会を背景に、エリクソンやABBをはじめとする大手企業のオープン・イノベーションが盛んなスウェーデンでは、ストックホルム市で、スウェーデン王立工科大学(KTH)や、RISEスウェーデン国研究機構などの大学・研究機関との意見交換を実施。スウェーデン側から、日本企業の関心が高い技術分野でのさらなる企業交流の可能性を追求したいとの意欲が示され、人工知能(AI)や、クリーンテック分野などの現地企業との商談が活発に行われた。

写真 スウェーデンでのネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

スウェーデンでのネットワーキングの様子(ジェトロ撮影)

企業や大学発の優れたアイデアと人材が豊富で、多数の起業家を輩出し続けるフィンランドでは、アルト大学やフィンランド国立技術研究センター(VTT)などエスポー市の研究機関を訪問し、ヘルシンキ市ではモノのインターネット(IoT)、モビリティー分野などの企業との商談を実施。リバースピッチは現地企業が会場外にあふれるほどの盛況となった。高成長を遂げるテック企業へのアクセスの点で優位性があるフィンランドは、日本とオープン・イノベーションで協力を構築し得るとするコメントが相次いだ。

写真 在フィンランド日本大使館共催イベントの様子(ジェトロ撮影)

在フィンランド日本大使館共催イベントの様子(ジェトロ撮影)

電子政府促進など先進的なデジタル化政策を進め、世界初の電子市民制度導入で注目を集めるエストニアでは、タリン市でタリン工科大学やMektoryなどの大学関係者と意見交換を行うとともに、AI、ブロックチェーン分野の企業らとの商談を実施した。エストニア側からは、日本はビジネス上の親和性が高いことが指摘されたほか、これまで以上の具体的成果への期待が寄せられた。

写真 エストニアでのリバースピッチの様子。熱心に聞き入る現地企業関係者が多かった(ジェトロ撮影)

エストニアでのリバースピッチの様子。熱心に聞き入る現地企業関係者が多かった(ジェトロ撮影)

今回のミッションのリバースピッチには、3カ国合計で多岐にわたる業種から約200人のテック企業関係者が集まり、約180件の商談が行われるなど、日本企業との協業に対する北欧企業の関心の高さがうかがえた。

現地の政府機関や自治体、各在外公館の協力を得て実施したミッションについて、参加した日本企業からは、「個別の活動では知り得ないような企業や研究機関と会えたのが良かった」「自社の狙いや取り組みを効率的に伝えることができ、協業可能性のあるスタートアップ企業を見つけることができた」などの声が挙がった。

(注)技術提携・獲得などを目指す既存企業がスタートアップに向けて連携を呼び掛けること。

(雪田大作)

(スウェーデン、フィンランド、エストニア)

ビジネス短信 d7ad9a3f15f29fd5