アスベスト使用禁止法案を国会審議、労組は米J&JベビーパウダーをFDAに検査要求

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月30日

フィリピンでアスベストの使用を禁止する法案が国会で審議されている。商用でのアスベストの輸入、製造、加工、使用、販売を禁止し、違反者には10万ペソ(約21万円、1ペソ=約2.1円)から100万ペソの罰金、または3カ月から3年の禁錮刑が科される。

法案立案者のレイモンド・メンドーザ下院議員は「法案成立によって、造船業や建設業、配管工、電気技師などといった職業上、アスベストを吸い込むリスクが高い職種に就く労働者の健康被害を防止する」と説明した。

法案はさらに、フィリピン保健省(DOH)や省庁横断で構成する委員会にアスベストの輸入、製造、加工、使用、販売を取り締まる権限を与えるとしている。ただし、防衛省に関しては、一定の条件の下でアスベストの使用を認めることとなっている。

また、米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が10月18日、米国で製造したベビーパウダーの一部からアスベストが検出されリコール(自主回収)を実施したことを受け、フィリピン労働組合会議(ALU-TUCP)はフィリピン食品薬事局(FDA)に対して、フィリピンで販売される同社のベビーパウダーを検査することを求めている。

ALU-TUCPのゲラルド・ソロ氏は10月23日、「多くのフィリピン国民がJ&J製品からアスベストが検出された事案を懸念しており、不安を軽減するためにもFDAの迅速な対応を求めている」と地元メディアに説明した。

FDAのエンリケ・ドミンゴ局長は10月23日、米国でリコールの対象となった製品は現時点でフィリピンでは販売されていないと説明した。

J&Jのフィリピン法人は地元メディアの問い合せに対して、リコール直前の9月にFDAの厳正な審査を受けたとした上で、「審査の結果、アスベストの検出はされず、製品は安全だ」と主張した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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