ベルギーで初めて女性が首相に就任、連立協議はなお難航

(ベルギー)

ブリュッセル発

2019年10月29日

ベルギーのフィリップ国王は10月27日、ソフィー・ウィルメス前予算・公共サービス相と会見し、ベルギー連邦政府の首相に任命外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ウィルメス氏はフランス語系の穏健リベラル政党・改革運動(MR)の所属で、女性の首相就任は1830年のベルギー建国以来、初めてとなる。予算・公共サービス相の後任には連邦下院MR会派のダビッド・クラランバル代表が就いた

長引く連邦政府の連立交渉に危機感

今回の人事は、シャルル・ミシェル暫定首相が12月に欧州理事会(EU首脳会議)の常任議長に就任する(2019年7月3日記事参照)ことに伴うもの。5月の総選挙(2019年5月28日記事参照)後の連立協議が難航しており、新政権の正式発足までの暫定首相となる。

なお、国王は10月8日、連邦下院でオランダ語系とフランス語系のそれぞれ第1党の「新フランダース連合(N.V-A、地域主義)」と「社会党(PS、中道左派)」を核とする連立を視野に、両党の重鎮である欧州議会のヘールト・ブルジョワ議員(前フランダース首相)とフランス語共同体議会(注)のルディ・デモット議長に連立交渉の準備を委任。しかし、テレビ局RTBFの番組に出演したウィルメス暫定首相は28日、「十分な進捗からはほど遠い。危機感がない」と苦言を呈した。

一方、総選挙を経て、連邦政府を除く国内の地域政府(ブリュッセル首都圏、フランダース、ワロン)と共同体政府(オランダ語、フランス語、ドイツ語)の全てで、既に新政権が発足(フランダース地域とオランダ語共同体はフランダース政府として政府・議会を一体化)。連邦政府のワウテル・ベーケ前雇用・経済・消費者相〔キリスト教民主フランダース(CD&V、キリスト教中道)所属〕はフランダース政府の福祉・家族・健康・貧困対策相に就任し、同党のナタリー・ムイル議員が後任に就いた。

(注)連邦制のベルギーでは、連邦政府と、地理的区分に基づく地域政府(ブリュッセル首都圏、フランダース、ワロン)、言語に基づく共同体政府(オランダ語、フランス語、ドイツ語)が異なる管轄分野・地域の行政・立法権を保有している。

(村岡有)

(ベルギー)

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