日本の1~8月の対中輸出は7.4%減、製造用機器など落ち込みが目立つ

(日本、中国)

中国北アジア課

2019年10月15日

日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、2019年1~8月の日本の対中輸出は、前年同期比7.4%減少し、対中輸入は0.6%減とほぼ前年並みで、日本の対中貿易収支は1億8,713万ドルの赤字となった(注)。

1~8月の日本の対中輸出は前年同期比7.4%減の1,106億ドル、8月単月では前年同月比8.9%減の143億6,556万ドルとなった(表1参照)。

1~8月の輸出品目の上位15品目(HSコード6桁ベース)をみると、フラットパネルディスプレイ製造用機器が前年同期比28.2%減となり、最大の押し下げ要因になっている(寄与度マイナス0.8ポイント)。次いで、表外のマシニングセンター(HSコード845710に該当するもの、5億8,823万ドル)が56.8%減となったことも響いた(寄与度マイナス0.6ポイント)。半導体デバイス・集積回路用製造用機器も17.0%減となった。半導体やフラットパネルディスプレイなどの需給バランスが緩んでいる中、長期化する米中貿易摩擦などの影響もあり、日本から中国への製造用機器の輸出にも影響が出ているとみられる。

また、中国で自動車市場の低迷が続く中、ギヤボックスおよびその部分品が前年同期比17.2%減、高級車を中心とした排気量3000cc超の乗用自動車が14.0%減となった。

一方、ハイブリッド車(HSコード870340)が87.0%増の大幅増となったほか、集積回路(HSコード854239)が23.6%増、美容・メーキャップ用の調製品が37.3%増と好調だった。

表1 日本の対中輸出(1~8月、上位15品目)

1~8月の日本の対中輸入は、前年同期比0.6%減の1,108億ドルとなった(表2参照)。8月単月では前年同月比4.4%減の133億4,411万ドルだった。

表2 日本の対中輸入(1~8月、上位15品目)

1~8月の輸入品目の上位15品目(HSコード6桁ベース)をみると、最大の輸入品目であるスマートフォンなど電話機が前年同期比7.7%減となり、輸入全体を0.5ポイント押し下げた。このほか、寄与度がマイナスとなった品目をみると、表外の家庭用ゲーム機(HSコード950450、5億9,981万ドル)が31.5ポイント減、電話機の部分品(851770、6億8,776万ドル)が22.9ポイント減だった。

他方、携帯用の自動データ処理機械(847130)は前年同期比19.3%増となり、寄与度がプラス0.8ポイントと最大になった。

(注)貿易統計は輸出を仕向地主義、輸入を原産地主義で計上しており、一定量存在する香港経由の対中輸出(仕向地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。このため日中間の貿易は、いずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計をみた方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は、中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。

(森詩織)

(日本、中国)

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