第2四半期の名目平均賃金(月給)が過去最高を記録

(チェコ)

プラハ発

2019年10月01日

チェコ統計局の9月3日の発表では、2019年第2四半期の1カ月当たりの平均名目賃金(グロス)は、前年同期比7.2%上昇して3万4,105コルナ(約15万6,880円、1コルナ=約4.6円)に達し、過去最高を記録した。中央値では、2万9,127コルナで6.9%増となった。

平均賃金データには、基本給のほか、超勤代などの手当、および賞与も含まれる。そのため、ボーナス期に当たる第4四半期の賃金が年間で最高となる傾向にあるが、今回は前年第4四半期の3万3,871コルナをも上回った(図参照)。

図 平均賃金(四半期データ)および上昇率

第2四半期の平均賃金を産業部門別にみると、金融・保険部門が最も高く6万3,852コルナ(前年同期比8.5%増)、以下、IT部門(5万7,795コルナ、6.1%増)、電気・ガス・蒸気・空調供給(4万7,205コルナ、5.9%増)と続いている。また、製造業は3万4,364コルナ(6.5%増)だった。州別では、プラハが4万2,297コルナ(6.3%増)で最も高く、カルロビ・バリ地方(チェコ北西部)が2万9,691コルナ(7.1%増)で最低となった。

賃金上昇は、人材確保と並んで、経営上の最大の課題の1つとなっている。2018年の平均賃金上昇率は7.5%で、2009年以降の最高を記録した。2019年に入ってからも第1四半期7.5%、第2四半期7.2%と依然として7%台の高水準にある。

2018年9~10月にジェトロが欧州進出日系企業を対象に実施した経営実態調査では、経営上の問題点として「労働コスト上昇率の高さ」を挙げた企業の割合が、チェコでは90.5%(複数回答可)に上っており、欧州調査対象国の中で最も高かった(欧州全体では30.5%)。

チェコ商工会議所が9月17日に発表した、経営者を対象とした調査によると、2020年の平均昇給額は6.1%増(月収にして2,358コルナ増)が見込まれ、これにより平均賃金(月給)は3万6,300コルナに達すると予想されている。回答企業における2018年の賃金上昇率は平均8.1%で、2019年は7.4%、2020年は6.1%となる見込みだが、同会議所は2018年の労働生産性の上昇率は1.6%にすぎない点を指摘している。

(中川圭子)

(チェコ)

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