ブエノスアイレス州知事はペロン党急進派、ブエノスアイレス自治市長は中道右派に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月29日

アルゼンチンでは大統領選挙と同じ10月27日に、ブエノスアイレス州、ブエノスアイレス自治市、カタマルカ州、ラ・リオハ州の3州1自治市で州知事・市長選挙が行われた。

ブエノスアイレス州知事選は開票率95.66%時点で、左派ペロン党急進派「すべての戦線」のアクセル・キシロフ前下院議員が得票率52.28%を獲得して勝利した。対立候補の中道右派「変化とともに」のマリア・エウヘニア・ビダル知事は再選を目指したが、38.39%にとどまった。ペロン党系の候補が同州知事選で勝利するのは4年ぶり。キシロフ氏はクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル政権期に経済相(2013年11月~2015年12月)を務め、テクニカル・デフォルトの対応やパリクラブ合意に向けた取り組みなどを行った。

ブエノスアイレス自治市長選では開票率98.98%時点で、「変化とともに」のオラシオ・ロドリゲス・ラレッタ市長が55.90%を獲得、「すべての戦線」所属のマチアス・ラメンス候補(35.06%)に20ポイント以上の大差をつけて勝利した。ロドリゲス市長は長年の課題とされてきた南北の大型車両向け地下道路「パセオ・デル・バホ」の開通や、近郊鉄道の相次ぐ高架化による交通事情の改善を実現するなど、市内のインフラ整備で目に見える実績を残しており、そのことが評価されたとみられる。

アルゼンチン北西部にあるカタマルカ州の知事選(開票率94.52%の時点)は、「すべての戦線」のラウル・ハリル候補が得票率60.40%を獲得し、「変化とともに」のロベルト・ゴメス候補(得票率33.46%)に勝利した。ペロン党の州知事は3期連続となる。また、同じ北西部に位置するラ・リオハ州の知事選でも「すべての戦線」のリカルド・キンテラ候補が得票率40.84%を獲得。「変化とともに」のフリオ・マルチネス候補(得票率27.90%)に勝利した。同州ではペロン党が1983年の民政化以降、州知事のポストを維持し続けている。

これで、アルゼンチンで2019年に行われる全22州・自治市の首長選挙のうち21の選挙が終了した。今年最後の州知事選挙は11月10日にサルタ州で行われる。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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