2019年の経済成長予測は据え置き、2020年は下方修正

(ドイツ)

ベルリン発

2019年10月25日

ドイツ経済・エネルギー省(BMWi)は10月17日に秋季経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2019年と2020年のGDP成長率をそれぞれ、0.5%、1.0%と予測した(表参照)。4月14日に発表した春季予測と比べ、2019年は据え置いた一方、2020年は0.5ポイント下方修正した。

BMWiによると、2018年から停滞する世界貿易の原因は、英国のEU離脱問題や米中貿易摩擦などの外的環境の不安定さにあり、ドイツの輸出型産業がその影響を受けているとした。また、資本集約型の輸出産業と密接に関わる機械設備投資は、2018年の4.4%増から2019年には0.6%増に減速、民間企業による投資控えが見込まれる。他方、国内需要は依然として好調で、雇用者数は増加し、賃金も上昇傾向にある。国内需要に下支えされる輸入の伸びは輸出に比べて小幅な減速となり、経常収支は2020年までにGDP比で6.2%まで減少すると予測している。

表 ドイツ経済・エネルギー省の秋季経済予測

ドイツ産業連盟(BDI)のヨアヒム・ラング事務局長は秋季経済予測について同日、世界貿易や投資活動が「息をのむ速さで悪化している」として、迅速な政府による財政出動を求めるコメントを発表した。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は、国際貿易環境の不確実性の影響を受けて減速する輸出志向型産業と、底堅い国内需要との間で、ドイツの経済情勢が「分断状態にある」と指摘する一方で、「間もなく世界貿易の不調は底を打つ」として、国際経済の緩やかな回復に伴いドイツ経済も上昇、危機的な局面にはないという。9月に発表した中小企業戦略(2019年9月10日記事参照)で同氏が提案する減税、企業活動に関する行政手続きの簡素化による負担軽減、再生可能エネルギーの市場化(市場価格での取引)推進、テクノロジーへの投資、デジタル化など、連邦政府による成長政策をより一層推し進めるとした。

(中村容子)

(ドイツ)

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