チリ初のユニコーン誕生なるか、ウーバーの買収先企業

(チリ、米国)

サンティアゴ発

2019年10月21日

米国のウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)は10月11日、チリのスタートアップ企業で、ウェブサイトやアプリを通じて食料品の買物代行サービスを提供しているコーナーショップ(Cornershop)を買収すると発表した。コーナーショップは2015年にチリ人の起業家らによって設立されたスタートアップ企業で、現在はチリの首都サンティアゴに本社を置いており、チリのほか、メキシコ、ペルー、カナダでもサービスを提供している。ウーバー・テクノロジーズの発表によれば、買収の手続きは2020年の初頭に完了する見込みだ。

高まるコーナーショップの企業価値

コーナーショップについては、米国のウォルマート(Walmart)による買収計画も2018年にあり、ウォルマートは当時、コーナーショップの全株式を2億2,500万ドルで買収すると発表していた。10月15日付「エル・メルクリオ」紙は、今回のウーバー・テクノロジーズによるコーナーショップの買収は、過半数となる全体の51%の株式が対象となり、買収金額は4億5,000万ドルにも上ると報じていることから、コーナーショップが企業価値10億ドル以上と定義されるユニコーンに迫る勢いをみせていることがうかがえる。同紙は、ウーバー・テクノロジーズが、これほどの価値をコーナーショップに見いだした要因として、中南米諸国を中心に同社のビジネスが急速な広がりをみせている点と、日本でも既になじみとなった出前サービス「ウーバーイーツ」との相乗効果を挙げている。

米国のスタートアップ企業に関するデータベースのCBインサイツ(CB Insights)によれば、2019年5月時点で全世界に計346社のユニコーンが存在するが、中南米地域ではブラジル、コロンビアに2社ずつを有するにとどまっている。チリ初のユニコーン誕生へ向けて、コーナーショップの今後の動向が注目される。

(佐藤竣平)

(チリ、米国)

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